【中小企業の銀行対策】自社の適用レートを知っておく必要性とは?
1 レートの決まり方はどうなっているのか。
中小企業経営者とのお話で、
北出「社長、御社の借入の金利ってナンボかご存知ですか?」
社長A「そんなん、気にしたことないなあ。咄嗟にわからん」
という会話があったりします。
その会社の財務体質はまずまずで、笑い話でその場は流したのですが、社長A氏はやばい人です。
借入のレートは、すなわち、お金の「値段」です。
経営者が、原材料を仕入れる時に、単価を知らずに仕入れるということはあり得ないにもかかわらず、お金の「値段」に無頓着なのはいただけません。
そもそも、中小企業向け融資のレートはどのように決まるのでしょうか?
金融機関は、融資先をランキング化(信用格付け)します。
信用格付けによって、基準金利が決まります。
例えば、優良先の中小企業X社は、日本円TIBOR3ヶ月ものプラス0.700%とかで決まります。
プラス0.700%が言わば金融機関の粗利で、スプレッドという言い方をします。
銀行員に言い方だと、「3ヶ月ものにスプレッド700べイシスポイントもろてます」という具合です。
あるいは、優良先から外れると、短期プライムレートに何パーセントかを上乗せする形を取ります。
メガバンクの短期プライムレートは、1,475%ですが、地方銀行は金融機関によってばらつきがありますが、おおむね1.8%台というところです。
銀行員の言い方だと「自行短プラプラス0.25%もろてます」という具合になります。
ちなみに信用金庫には、TIBORのような市場金利や単プラに連動したレートではないようで、親近さんのレートの決まり方は分かりにくいところです。
2 レートは信用度のバロメータです
このように、レートこそが、中小企業にとって、金融機関からみた信用度のバロメータそのものです。
TIBOR3ヶ月ものの昨日の市場レートが0,06273%なので、スプレッドが700%ベイシスポイント(0.700%)であれば、出来上がりのレートが0.76273%です。
3億円ベッタリと借りた場合の支払利息は年間で229千円で、これでは銀行員の人件費にもなりません。
一方、問題先だとみなされ、短プラ(1,875%と想定)プラス1.5%だと出来上がりのレートが3.375%となり、同様に3億円ベッタリと借りた場合の支払利息は年間で10,125千円でなんと10百万円を突破します。
このような中小企業では、一生懸命トップラインを立てても、営業利益が支払利息で吹き飛んでしまいます。
ところが、支払利息を抜本的に引き下げる特効薬が存在しないのも事実です。
残念ながら、ですが、地道にトップラインを立てて原価を低減し、経費を適正化して営業利益を稼いで、利払い後の税引後当期純利益を社外流出させることなく内部留保に蓄積することで、 BSの健全化を進めていくことが寛容です。
中小企業経営者の皆さん、このように、自社の適用レートが何%であるのかを知ることは極めて重要です。
自社の適用レートが何%なのか、どのようにそのレートが決まっているのか、金融機関からみた自社の評価はどのようなものかを知るためにも、融資実行時の計算書を仔細にチェックする必要があるのです。