【中小企業の銀行対策】役員報酬を削減し過ぎてはいけない理由とは?

1 役員報酬削減で他の費用が増えては意味がない

今日は、中小企業に於いて、オーナー向けの役員報酬を削減し過ぎてはいけない理由について考えます。
経営改善が必要になる局面前に、役員報酬をどっさりと取っていたオーナー向け役員報酬を適正化することは大切なことです。
また、役員報酬を削減することによって、オーナー一族が身を切る姿勢を明確にして、リスケジュールを円滑に進めるケースもあります。
他方、多くのオーナー経営中小企業の場合、役員報酬は概ね適正な水準となっているケースが多い他、役員報酬の適正な水準には、オーナー一族の家族環境も考慮する必要があります。
そういうケースでは、上っ面しか見ていない銀行員が、経営改善途上にある融資先の社長に対して、役員報酬の削減を求めてきたりします。
「いやいや、これ以上、役員報酬削減したら、生活、成り立たないことくらいわかるやろ」と上っ面しか見ていない銀行員に説教しそうになりますが、生活が成り立たない水準にまで役員報酬を減額することは、そもそも無理があって、会社に別の意味で負荷をかけてしまいます。
役員報酬を削減しても、オーナー一族が一定の生活水準を保つため、例えば、生活に必要な領収書を接待交際費や雑費で計上すると、PLの改善には繋がりません。
更には、オーナー社長が奥さんから「こんな役員報酬で生活できると思てんの? 何考えてんの」という言葉が発せられたりすれば、オーナー社長の経営改善へのモチベーションが下がってしまいます。
下手をすると、夫婦喧嘩の種にもなりかねません。
それでは、何のための役員報酬削減なのかわからなくなります。
このように、過度な役員報酬削減は、収益改善にはつながらないのです。

2 過度な役員報酬減額は、BSを痛めてしまう

更に問題なのが、過度な役員報酬がBSを痛めてしまうことです。
日々の領収書を会社の経費で落とせなくなると、使途不明金が発生してしまって、オーナー一族向けの貸付金や仮払金といった仮勘定が発生してしまいます。
一見、PL上の費用削減が実現できたように見えますが、BS上に資産性のない不良資産が発生してしまうので、金融機関の査定にはネガティブに作用します。
金融機関では、BSを謂わば「時価評価」するので、オーナー向けの貸付金は通常、0円査定となってしまいます。
これでは、簿価資産よりも実質資産が目減りしてしまうので、下手をすると、簿価資産超過でも、実質ベースでは実質債務超過になってしまい、破綻懸念先に分類されてしまうリスクさえあります。
経営改善の局面では、オーナー経営者が「絶対、会社を立て直すぞ」という強いモチベーションが必要なので、オーナー一族で揉めるような事柄を排除して、経営改善に集中できる環境作りが必要不可欠です。
経営改善が必要なオーナー経営者は、適切な役員報酬を取って、生活を安定させた上で、会社が抱える経営課題を一個一個着実に解決していくことが肝要です。
このように、過度な役員報酬削減は、ネガティブな効果が見込まれます。
中小企業経営者は、経営改善計画の中で、必要な役員報酬を取ることをしっかりと謳って、メイン行以下に丁寧に家族環境を説明しながら、各金融機関の協調体制を取り付けていく必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】借入金の相手として、借方に証が残らなければならない理由とは?も併せてご一読下さい。

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