【中小企業のコロナ対策】値上げ効果を検証する必要性とは?

1 中小企業のコロナ危機はまだ去っていない

「この冬は、コロナとインフルエンザの同時感染拡大で大変なことになる!」
御用学者やマスコミがこれみよがしに語っていましたが、幸いにも、大阪府のコロナ赤信号が黄色信号に変わるなど、世の中は徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようです。
他方で、飲食店やサービス業などの中小企業にとっては、まだまだコロナ前の業況回帰には至っていません。
コロナの影響に加えて、深刻な物価高によって原価の上昇は未だ続いています。
人手不足も相まって、人件費の相場も高い状況です。
コロナ、原価高に人件費高と、サービス業の中小企業にとっては、文字通り三重苦です。
金融機関から調達したコロナ資金についても、元本返済据置期間の終了が迫ってきていることに加えて、無利子期間満了も徐々に見え始めています。
元本据置と無利子期間が満了となると、元本返済負担による資金繰り余力の低下と無利子期間満了による収益圧迫が、弱った中小サービス業に追い打ちをかけかねません。
多くの中小企業では、コロナ危機の真っ只中で、コロナ危機は未だ去る気配が感じられません。
これが令和5年春先の中小企業の実態です。

2 値上げの「やりっ放し」はやめよう

こうなると、どこの中小企業、サービス業も、苦肉の策ながら「値上げ」に踏み切らざるを得なくなります。
ただ、実際のところ、弊所のお客様企業でも、経営者は「値上げ」にアレルギーを感じてしまってます。
経営者は、往々にしてお客様から「あれ! いつの間にか高くなったんやね」と言葉が出るのを嫌います。
多くのお客様は無言のまま、離れていってしまいかねません。
そうは言っても、背に腹は変えられないのと、大鐵企業が率先して値上げに踏み切っている姿を見て、「うちも上げてしまえ!」と値上げに踏み切ります。
ただ単に値上げをしただけでは、お客様のフラストレーションは高まるばかりなので、値上げを補って余るようなホスピタリティを提供する必要があります。
他方、多くの中小企業では、値上げに踏み切った後の「値上げ効果」の検証ができていないケースが多いようです。
飲食店の場合の売上高は、(「売上高」=「平均客単価」×「来店客数」)という比較的単純な計算式で求めることができます。
POSを導入している飲食店であれば、「平均客単価」も「来店客数」も容易に導き出すことが可能です。
値上げをして最もやばいケースが、値上げによって得られた平均客単価の上昇分以上に、来店客数が落ち込むことです。
これでは、値上げが結果として失敗に終わっているわけなので、早急に軌道修正を図る必要があります。
値上げ効果をしっかり出すことによって、来るべきコロナ資金の元本返済に必要なキャッシュフローと無利子から有利子となる支払利息の増加分をカバーする収益改善を実現しなければなりません。
このように、値上げの「やりっ放し」はかなり危険です。
中小企業経営者は、値上げ効果が十分浸透しているかについて、絶えず、検証し、必要に応じて軌道修正を図る必要があるのです。

【中小企業のコロナ対策】税金・社保を溜めてはいけない理由とは?も併せてご一読下さい。

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