【中小企業の銀行対策】メイン行と、サブ行以下とをきっちり切り分ける理由とは?

1 取引金融機関は暗黙の内に序列化する

経常的な運転資金や設備資金を調達しているような中小企業の場合、複数行から融資を受けているケースが多いようです。
取引内容によって、暗黙の内に、金融機関の序列が決まります。
暗黙の内に取引金融機関は序列化され、「メインバンク」となる金融機関は、融資残高が最も多いだけではなく、お客様からの入金が集中する、給与振込や、仕入先、外注先や経費の支払で総合振込をする、などでサブ行以下とは一線を画するようになります。
金融機関は金融機関で、保証協会の利用度合、超長期の資金の有無、当座貸越の平残(平均残高)といった融資だけではなく、総合的な取引を重視しています。
給与振込や総合振込の振込手数料、当座や普通預金の流動性預金の平残、系列シンクタンクの会員加入などなど、総合的な取引は多岐に渡ります。
通常、融資を受けている中小企業から見たメインバンクと、金融機関目線のメインバンクとは一致するのが双方にとってハッピーです。
中小企業経営者「御行がメインなんやから、いざという時の資金面でのお手伝いをお願いしますよ」
メインバンク担当者「当行がメインなんですから、他行さんとは程々にお願いしますよ」
これが、中小企業とメインバンクとの良好な関係です。

2 サブ行以下にいいようにされてはいけない

そうはいっても、サブ行以下もシェア拡大のため、資金をジャンジャン売り込んできます。
時には、「メインさんより当行は金利を安くさせてもらいますよ」と甘い言葉がサブ行以下の担当者から発せられたりします。
そんな時、中小企業経営者は、「ならば、それでお願いしますよ」とブレてはいけません。
まず、メインバンク担当者にお伺いを立てるのが商道徳です。
「サブ行さんが、この金利で話を持ってきたのよ」
こうメイン行の担当者に持ちかけたら、メイン行も黙ってはいません。
「これならうちでも取り組めます」だったり、場合によっては、心あるメイン行担当者は、
「社長、この資金、今要りますか? 使い道があればいいですが、これといって使い道がなければ今回は見合わせた方がよろしいのでは」
と親身になってくれる可能性もあります。
これといって今必要のない資金を金利が低いからといって調達するのは危険です。
過剰債務の温床になりかねません。
「貸さぬも親切」という言葉もあるくらいです。
またサブ行以下が「保証協会付」は御法度です。
「保証協会付」はメイン行のためにとっておくのがあるべき姿です。
不急不要の保証協会付の資金は安易に借りてはいけないのです。
メイン行に黙って、サブ行以下から金利でなびいて資金調達したら、メイン行は「あの社長は、金利で転ぶ人やから、これ以上の取引深耕はやめとこか」となってしまいます。
ましてや、次の決算書でサブ行以下の借入残高が増えていて、サブ行以下から調達したことがバレたら、メイン行の信頼は大きく堕ちます。
サブ行が本当に、会社の事業性を評価して、シェア拡大、メイン行奪取を図るのであれば、プロパーで突っ込んでくるものです。

このように、中小企業にとって、メインバンクは大切な存在です。
中小企業経営者は、メイン行との信頼関係をより強固にする努力を怠ってはならないのです。

【中小企業の銀行対策】立替資金をタイムリーに金融機関から調達するために必要なこととは?も併せてご一読下さい。

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