【中小企業の銀行対策】月次報告をルーティン化するメリットとは?
1 金融機関との接触度は、中小企業によって千差万別である
運転資金によせ、設備資金にせよ、中小企業にとって、金融機関から受ける融資は、成長エンジンです。
売上が増加していく局面では、中小企業の場合、取引上の力関係が相対的に弱いため、「支払は早く、回収は遅め」ということになるので、増加運転資金を調達することで、増収基調を維持することができます。
モノづくりの会社で、「親会社」から新規受注のおファがあった時、既存の生産設備で対応できない場合は、設備資金を金融機関から調達して設備を増強ことで、「親会社」からの信頼を得ることができます。
一旦、設備投資に踏み切って想定通りの設備投資効果が得られれば、会社は新たなステージに上がることができます。
北出に言わせれば、「うちの会社は無借金なんや!」と胸を張る経営者を見ていると、「成長を捨てた会社なんやなあ」と心の中で毒付いてしまいます。
このように、中小企業にとって融資を受ける金融機関は、切っても切れない関係ですが、日頃の付き合い方は、会社によって千差万別のようです。
メインバンクとの接触は、決算書ができたタイミングと資金が必要になった場合のみ、というケースも世間では散見されるようです。
もちろん、それで事足りるといえばそうなのかもしれませんが、メインバンク担当者からすれば、「電話がかかってくるのは、『貸してくれ!』の時だけかよ」と都合良く使われている感が強くなります。
これでは、いつまで経っても、会社とメインバンクとの信頼関係は深まりません。
会社とメインバンクの関係といっても、所詮は担当者と経営者との属人的な要素が強いため、自然と「好き嫌い」が出てしまいます。
お互い、「なんなんや、あいつは! むかつくのお」となってしまいかねません。
2 中小企業と金融機関の距離を詰めるためには、「接触頻度」を上げるしかない
会社とメインバンクとの関係性が、所詮は、ヒト対ヒトである以上、「好き嫌い」を乗り越えるための解決策は「接触頻度」を上げることしかありません。
ただ、「一緒に話でもしましょう」では間がもたないし、双方ガキの使いでもないので、お互いに「時間を作りましょう」を実現するためのツールは、試算表と資金繰り表(建設業の場合は、加えて受注明細)です。
試算表は過去の成績表なので「前月はこうでした」で、「資金繰り表」は「今月以降の資金の流れ未来予想図」、建設業の場合の「受注明細」は現在の工事物件の進捗度合いと今後進行していく工事の内容なので、話のネタには事欠きません。
ファーストインプレッションがお互い最悪で「なんなんや、あいつは! むかつくのお」であっても、話のネタに事欠かなければ、無言が続くような地獄のような空気は流れません。
試算表や資金繰り表を、毎月メインバンクに提出し、業況報告することは、立派な「モニタリング」で、金融庁や財務局が金融機関に要請する行政指導にもジャストマッチするので、金融機関側がモニタリングを拒否する理由は一切なく、むしろ基本、大歓迎です。
万が一にも、月次の「モニタリング」が面倒臭がるような金融機関があれば、即刻他行に乗り換えるべきです。
中小企業の経営者側としても、「モニタリング」を回す最初の段階では「時間もかかるし、面倒臭いやないか」となりますが、「モニタリング」を半年もやれば、経営者も金融機関担当者もだんだん阿吽の呼吸になってきて、面談時間も一行当たり30分もあれば十分となります。
面談の最後に、「来月はいつにしましょ?』と来月のアポ取りをしてしまえば、「モニタリング」を完全にルーティン化することができます。
中小企業経営者の皆さん、金融機関との信頼関係をより強固にするために、月次「モニタリング」をルーティン化して、金融機関との関係をより一層深めるようにしましょう。