【中小企業の銀行対策】日次資金繰り表作成のススメとは?
1 資金のボトムは月末とは限らない
今日は、日次資金繰り表の作成の重要性について考えてみます。
北出は、お客様の会社のお手伝いをさせて頂く時、まず一番最初に手がけるのが資金繰り表の作成です。
試算表や決算書は過去の会社の通知表である一方で、資金繰り表は会社の未来予想図です。
なので、資金繰り表を作成させて頂き、この先のキャッシュの流れはどうなるのかについて経営者と資金繰り表を作成して議論します。
他方、資金繰り表は月次単位で作成するのが一般的です。
月次単位なので、翌月に繰り越す現預金残高は、月末ベースです。
月末にキャッシュが増えていくのか、減っていくトレンドなのかを把握することができますが、実際の会社のおカネの流れとしては、月末が現預金のボトムになるとは限りません。
仕入先や外注先への支払いは月末となるケースが散見されますが、給料日は、例えば15日だとか、20日だとか、25日だとかが多いようです。
お給料日が25日だと、お客様からの月末の入金は給料の支払に充当できません。
金融機関によりますが、給料振込や総合振込は当日ではなく、前営業日に資金を用意する必要があるので、25日の給料日は実質24日で、土日の並びによっては22日の給与資金を準備する必要が出てきます。
このように、月末が現預金のボトムになるとは限らないというのが実際です。
2 月中の資金の流れを把握しておく
日次で資金繰りを把握するのは、実はそんなに難しいことではありません。
特に、中小企業であれば、主要なお客様からの売掛金の入金は毎月20日とかで決まっていますし、支払はほぼルーティンです。
人件費は概ね概算でわかりますし、リース料や水道光熱費等、毎月口座振替で落ちる経費を事前に読み切ることが可能です。
原材料費や外注費は、毎月初旬には請求書が届きます。
ベテランの経理担当者がいれば、毎月のルーティンの支払は経理担当者の頭の中に入っています。
入金に関しても、毎月先方の支払日に入金がなければ、営業担当者にアラートを出して、入金の督促をしたり集金に行かせることで、売掛金の回収遅延を防ぐことも可能です。
経営者が月中の資金の流れを把握することによって、経理部門の引き締めと営業部門の売掛債権回収意欲を高めることができます。
中小企業経営者は、面倒くさがることなく、キャッシュアウトによる会社の突然死を回避するためにも資金繰り表、中でも日次の資金繰り表を会社の中で回していくことが必要なのです。