【中小企業の銀行対策】経理部門が会社の中枢である理由とは?
1 試算表、決算書は信憑性が第一である
今日は、中小企業によって、経理部門が会社の中枢である理由について考えてみることにします。
中小企業といっても、会計事務所の関与具合はその会社それぞれですが、経理部門があったり、少なくとも経理担当者がいたりで、毎月試算表が作成され、決算期には、申告期限までに税務署に申告がされます。
他方、試算表や決算書の出来具合、もっといえば信憑性は、会社によって様々と言わざるを得ません。
残念ながら、損益が発生主義ではなく現金主義で仕訳されていたり、飲食や小売といった現金商売であるにもかかわらず、現金出納帳がしっかりと運用されていなかったり、費用計上と資産計上の線引きがしっかりとされているかを見させてもらったり、販管費の雑費が多額計上されているケースが散見されます。
製造業で、原価と販管費が厳格的に分けられていない会社も見受けられます。
北出は、お客様の会社のお手伝いをさせて頂くことになると、まずは会計処理が適正に行われているかを最初に点検します。
こういってはなんですが、お客様の会社の関係処理を見させてもらって、「この会社の経理、雑やなあ」と感じることがままあります。
必要に応じて総勘定元帳も拝見します。
融資を出している金融機関もアホではないので、特に審査部門では審査役や調査役が業種別で担当していたりするので、雑な試算表や決算書はもちろん、粉飾も一発でわかります。
審査部門が試算表や決算書を見て「この会社、要注意やな」と、儲かっているか否かの前の段階で、金融機関の取り組み姿勢はネガティブになってしまいます。
このように、試算表や決算書は、信憑性が問われるのです。
2 経営者は試算表から経営判断を行うべき
次に、経営者にとって、試算表や決算書はどのような存在であるべきなのかを考えます。
少なからぬ営業畑の経営者は、「経理なんか収益産まんお荷物みたいなもんや」「経理はちょいちょいでええ」と勘違いちがちですが、こういう考え方は即刻捨て去るべきです。
確かに、経理部門が直接的に収益を産むわけではありませんし、間接部門の象徴的な存在でもあります。
しかしながら、経理が雑で、試算表の信憑性が低ければ、経営者が自分の会社が儲かっているのか、損しているのかを的確に把握することができません。
製造原価が適切に計上されていて、初めて、売上総利益率を把握することができます。
このご時世、原材料価格が上昇したり、人件費が高止まっていたりすると、材料費や労務費、外注費が上がっているのが自然です。
製造原価が上昇していれば、お客様に値上げのお願いをすることが喫緊の経営課題となって、会社としての優先順位が上がります。
試算表は、会社の前月の通知表なので、通知表の中身が悪くなっていれば、経営者として打つべき手を考え、すぐに実行に移す必要が出てきます。
中小企業経営者は、経理は会社の中枢であることを再認識して、試算表のアップデートのタイミングを早くすることで直近の会社の収益状況を把握をして、経営課題を炙り出し、経営課題の解決策を実行に移していく必要があるのです。