【中小企業経営者の心得】オーナー一族の甘えが会社を危うくする理由とは?
1 会社には「規律」が必要だ
世の中の中小企業のほとんどは、オーナー企業です。
オーナー一族が役員を独占し、株主もオーナー一族で占められていると、会社の中で、オーナー一族vs.オーナー一族以外の従業員という対立軸が生まれてしまいます。
オーナー一族vs.オーナー一族以外の従業員という構図は、まるで、資本家vs.労働者のようなマルクス的な考え方になってしまいがちで、19世紀の欧州じゃあるまいし、常識的に「そんなん、ナンセンスやな・・・」と思えてしまいますが、実はこのような対立軸は往々に発生してしまいがちです。
一方で、中小企業といっても、ちゃんとした会社組織ですし、会社である以上、オーナー一族の都合だけでことは運びません。
従業員や地域社会も含めたあらゆるステークホールダーと関わり合いがあります。
もっとベタに言えば、オーナー一族もオーナー一族以外の従業員も「皆、仕事をしている」わけなので、そこにはしっかりとした「規律」が必要です。
更に、オーナー一族の方が、自らを律して、会社を率先して良い方向に導いていく役割があります。
オーナー一族だからこそ、法令遵守は当たり前として商道徳を実践し、社会に貢献するという姿勢が肝要なのです。
2 従業員は「見ている」
かつて、バブル全盛期は、往々にして、オーナー一族はやりたい放題でした。
社長は、「出張」と称して平日朝からゴルフに出かけ(確かに営業の一環だったという点は否めませんが)、社外からの電話に内勤従業員は皆「社長は出張しております」としれーっと応対していたものです。
それでも、バブル期なので、「出張しております」を繰り返す内勤従業員は春夏とボーナスが出て、不平不満が表に出ることはありませんでした。
しかし、失われた30年と、その後にやってきたコロナ禍で、社会は一転しました。
経済活動は一気に冷え込み、仕事はオンラインとなりました。
倒産・廃業する会社も頻発して、出ていた賞与もカットされ、オーナー一族以外の従業員は皆「明日は我が身か」と身を縮める世の中です。
従業員はオーナー一族の一挙手一投足に関心が集まります。
このような中でオーナー一族に甘えが出てしまえば、会社の規律はどうやっても保つことはできません。
総理の息子が総理秘書官で、総理外遊中に欧州で観光してたなんてのが報道されるだけで、皆呆れるばかりです。
会社の中でも同じで、従業員は「見ている」のです。
近年、頻発するようになった労働争議についても、オーナー一族vs.オーナー一族以外の従業員という対立軸の中から生まれてしまっているのではないかと北出は危惧するばかりです。
労働争議は、会社の存続を危うくしかねません。
元従業員への解決金支払は、会社のFCFを大きく毀損します。
このご時世、中小企業で労働争議は御法度です。
中小企業のオーナー経営者の皆さん、ご自身だけではなく、会社に携わっているオーナー一族に甘えがないか、従業員から顰蹙を買うような醜態を晒していないか、しっかりと律する必要があるのです。