【中小企業の銀行対策】「個人保証無し融資」を実現するために必要なこと

1 「個人保証」の現実とは

ここ最近、一気に、中小企業向けの銀行融資で「個人保証を外す」融資が脚光を浴びています。
創業5年以内企業への銀行融資には個人保証をつけなくすることも報道されており、中小企業経営者からすれば、「個人保証って外せるのかも」と期待が高まっているところです。
創業5年以内企業への銀行融資の個人保証については、創業5年以内と業歴が浅く、短期間で一気に事業規模を拡大するようなケースを除けば、経営者の個人保証無し、かつ、信用保証協会100%保証(責任共有無し)となれば、金融機関は取り組みやすくなります。
もっと言えば、100%保証という間接的な公的資金を投入することで、起業を後押しするというのは、後々、起業後事業規模を拡大して法人税等をしっかりと納めてくれるという前提であれば先行投資的なもので、税金の使い途としてはありかなと思えます。

他方、従来から存在する中小企業の場合、代表者の個人保証はマスト、下手をすれば、奥さん、息子、第三者にまで個人補償が及んでいるケースがなきにしもあらずです。
経営者保証ガイドラインのご時世なので、代表者以外の連帯保証人を金融機関が求める場合は、将来的な保証否認が起こらないためにも、公正証書に巻いていますが、金融機関からすると、代表者以外の連帯保証人は「既得権益」なので、金融機関がおいそれと人的保証を放棄するはずはありません。
特に、地方では、金融機関の数が限定的で競合が少なく、地元第一地銀が圧倒的なエリア内シェアを握っているため、個人保証外しは遅々と進んでいないのが現状です。
その点、弊所が拠点を構える八尾市を含む大阪府内では、近隣府県だけではなく、西日本中の地方銀行、第二地銀が鍔迫り合いを繰り広げているので、メインやサブ以外は信用扱いが当たり前、融資先が飛んだら、丸々実損というケースが散見されます。
一方で、創業家のオーナー社長からすれば、創業当初から資金調達時には個人保証をするのが半ば慣例的になっているので、個人保証のハンコを捺すのに違和感がないのも現実です。

2 個人保証がハードルとなるのはどういうケースか?

そもそも、個人保証を全て否定するつもりは北出にはありません。
米国のように、個人保証の概念がない場合には、左前となった会社をさっさと潰しても個人保証がないので、明日にでも新会社を設立して、商売をリスタートできるわけですが、これだとドナルド・トランプのように「いくらでも会社なんか潰してしまえ」という類のモラルハザードが蔓延してしまいます。
個人保証の存在が債権者保護に寄与しているのも事実です。
そもそも、個人保証のイメージは真っ黒けっけですが、主たる債務者の会社がびくともしなければ、個人保証を求償されることはありません。

このような個人保証ですが、個人保証がハードルとなるのはどのようなケースでしょうか、考えてみます。
個人保証が邪魔をする最も典型的な例が「事業承継」です。
創業社長から長男に事業を承継、創業社長は会長に、長男は代表取締役社長に昇格する場合、通常、長男は会社の連帯保証人となることを金融機関から求められます。
そこで、会社の財務体質が安定していて、借入金も事業規模からすれば適正水準であれば良いのですが、財務が脆弱で借入過多となれば、新社長就任時、銀行員とのやりとりは、
銀行員:「新社長、ご就任おめでとうございます。ところで、代表権をお持ちなった新社長でいらっしゃいますので、本日は個人保証の実印と署名を頂きに参りました」
新社長:「(そんなん聞いてないし。そもそも何で親父の時代にできた借金の保証人になんでならなあかんのや)はっ、わかりました」。
()ではなく、ホンマに銀行員にキレられる新社長ならまだ良いのですが、()の中を心の声で済ませざるを得ない新社長の心中はいかばかりか、という具合になってしまいます。
創業社長は創業社長で、「わしの代で作った借金を息子に背負わすわけにはいかん。わしの代で会社は閉める」となれば、自主廃業、自主廃業ができない実質債務超過ならば破産法を使って会社を精算せざるを得なくなります。
これでは、長年続いてきた会社がオーナー一族の都合で世間から退場する羽目になってしまいます。
従業員も取引先もたまったもんじゃありません。

このように、個人保証と事業承継は表裏一体です。
いざ、事業承継となれば、年度毎にこなしていくべきタスクを明確化して、金融機関に協調してもらいながら、5年とか10年スパンで着実に事業承継を実現させていく必要があります。
個人保証外しと事業承継は一日にしてならず。
中小企業経営者の皆さん、個人保証外しと事業承継は、早め早め、計画的にやりましょう。

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