【中小企業経営者の心得】業績不振が経営者の「老い」を促進させるワケとは?
今日は、中小企業経営者の心得として、業績不振が経営者の「老い」を促進させるワケについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 経営者にかかるプレッシャーは半端ではない
2 業績不振が経営者を老けさせる
どうぞ、ご一読下さい。
1 経営者にかかるプレッシャーは半端ではない
我が国の中小企業の数はざっと330万社。
日本の企業数の実に99.7%が中小企業です。
日本全国で、330万人の中小企業の社長がいることになります。
中小企業の社長は、総人口の3%を占めるわけで、少なからぬ数ということができます。
中小企業経営者と一言でいっても、実に様々な人がいます。
イケイケで、会社を大きくすることに情熱を燃やす人もいれば、安全重視、保守的な経営者もいます。
どちらがいいとか、悪いとかの問題ではなく、中小企業経営者のお人柄は千差万別です。
私北出は、独立前のサラリーマン時代から今に至るまで、数多くの中小企業経営者をお会いしてきましたが、どちらかというと、口ではイケイケの言葉を発していても、安全重視、石橋を叩いて渡るような保守的な人の方が、多いように思われます。
中小企業経営者がどちらかというと安全重視、保守的である理由として考えられるのが、少なからぬ従業員を雇用しているからだと北出は勝手に考えています。
会社が破綻してしまえば、経営者一族が経営者保証で会社と運命を共にすることに加えて、一時的にせよ、従業員が職を失ってしまいます。
もちろん、その安全網として、失業保険と失業給付があるわけですが、一サラリーマンが会社が経営破綻したことによって職を失うことは精神的にダメージが大きく、その家族にも不安が広がってしまいます。
このため、中小企業経営者は、従業員を守らねばならないという強い使命感がバックボーンとなって、安全重視、保守的になってしまうのは当たり前のことなのかもしれません。
よって、中小企業経営者、会社が休業日であっても、常に意識は臨戦体制にあって、どこか、完全に気が休まることがありません。
中小企業経営者は、体力的にも精神的にも強いプレッシャーにさらされています。
中小企業経営者は意識はしていないかもしれませんが、中小企業経営者にかかるプレッシャーはサラリーマンが想像も及ばないくらい半端ないものなのです。
2 業績不振が経営者を老けさせる
会社業績が順調であっても、中小企業経営者が心から落ち着けるようなタイミングはそうそうありません。
業績が右肩下がりで、金融機関への元本返済に足りるキャッシュフローを創出できず、現預金が減少トレンドとなれば、中小企業経営者は平時以上に強いプレッシャーに襲われます。
ましてや、資金繰りがタイトとなって、「月末の支払は大丈夫か?」、「給与資金は十分か?」、「取引銀行にお願いしている追加融資は実行してもらえるのか?」となれば、心配の種は尽きることなく、寝つきも悪くなってしまいます。
資金繰りに不安が募ってくると、途端に、中小企業経営者は、見た目、「老い」が加速します。
業績不振は経営者を老けさせて、久しぶりに会った人からは、「社長、ちょっとお疲れのようですね」などと心配されてしまいます。
他人から心配してもらっても、根本的な解決にはならないので、本来であれば、収益が悪化している要因を把握して、収益改善に取り組まなければなりません。
現金商売を除いた多くの中小企業の場合、収益が改善しても、キャッシュが増えてくるまでには時間的にズレが生じます。
「試算表を見れば収益は改善しているのに、資金繰りはタイトなまま」ということが当たり前に起こるのです。
このため、弊所では、損益(PL)とPLに連動する資金繰り表を作成するようにしています。
会社が倒産する原因は、平たくいってしまえば、おカネが尽きることによります。
中小企業経営者は、損益(PL)と資金繰りを連動させて、資金繰りを先読みして、事業継続のためにも、資金ショートを避けることを最優先にしつつ、経営者自身の健康管理を徹底して、会社の持続可能性を高めていくための経営努力を続ける必要があるのです。