【中小企業の銀行対策】迫り来る賃上げへの対応を今から検討すべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、迫り来る賃上げへの対応を今から検討すべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 賃上げトレンドは中小企業には逆風である
2 省力化、省人化の設備投資が必須である
どうぞ、ご一読下さい。
1 賃上げトレンドは中小企業には逆風である
先月の総選挙では、賃上げが大きな争点の一つとなりました。
今年の春闘では、大企業では思い切った賃上げが実施されましたが、中小企業では大幅賃上げは未だ実施されていないというのが現実です。
サービス業の店頭や製造業の生産現場では、最低賃金プラスアルファで働いている従業員が少なくありません。
そもそも、生産性が上がっていないにも関わらず、労務費や給与手当を増やすこと自体、中小企業にはコクな話です。
外国為替市場でのドル高円安の進行によって、原材料単価は上昇トレンドです。
水道光熱費など、諸経費も全般に上がっています。
むしろ、労務費、給与手当の原資は少なくなっているのです。
中小製造業は、大手の下請が大半なので、労務費の上昇分の価格転嫁は、親会社はなかなか首を縦には振ってくれません。
親会社も、賃上げに対応するため、下請業者への外注費はむしろカットしたいくらいです。
労働者の権利が強くなる一方で、中小企業にとっては、賃上げは大きなアゲインストであることは間違いないことなのです。
とはいえ、特に若手の人材を採用することは、会社の活性化にも必要不可欠です。
業種、業態を問わず、良質な人材を確保していくことは、大きな経営課題となっているのです。
2 省力化、省人化の設備投資が必須である
迫り来る賃上げに対して、中小企業経営者はどのように対処すべきでしょうか。
考えてみることにします。
賃上げを実施するためには、生産性の向上が必要です。
販売単価を上げてトップライン(売上高)を増加させることは真っ先に取り組むべき経営課題です。
加えて、業種、業態を問わず、省力化、省人化のための設備投資、DX(デジタル化)への投資も必須です。
思えば、食品スーパーでも無人レジが当たり前になりましたし、商業施設では、お掃除ロボが営業時間中であっても、動く人や商品棚を巧みにかわしながら稼働しています。
DXによって、現場の生産性向上と間接部門の効率化が期待されます。
省力化、省人化の設備投資を行うのに当たっては、メインバンクから設備資金を調達する必要が出てきます。
設備投資効果の浸透による収益改善と減価償却によって返済原資を確保できることをメインバンクに明示する必要があります。
具体的には、設備投資実施後、向こう最低1年間の資金繰り表の作成は必須です。
メインバンクに揃えるものを揃って、設備投資の意義を理解してもらえれば、省力化、省人化の設備投資に伴う設備資金については、メインバンクは基本的に前向けに対応します。
設備投資によって省力化、省人化を実現できれば、退職者を補充する必要がなくなります。
生産設備や機械は、文句を言わず、労働時間を気にすることなく、フル稼働してくれるはずです。
このようなことから、今から、中小企業経営者は、省力化、省人化の設備投資について真剣に検討を始めなければなりません。
来るべき設備投資に備えて、常日頃から、メインバンクへのモニタリング(業況報告)を定期的に行って、メインバンクとの信頼関係構築に中小企業経営者は腐心する必要があるのです。