【中小企業の銀行対策】支払利息の固定費化が現実となる理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、支払利息の固定費化が現実となる理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 市中の金利上昇が中小企業の支払利息増に直結する
2 支払利息をコストとして認識する
どうぞ、ご一読下さい。
1 市中の金利上昇が中小企業の支払利息増に直結する
年が明けてようやく、世の中が平常モードに戻ってきた中ですが、来週開催予定の日本銀行の金融政策決定会議によって、市中の金利(無担保コール翌日もの)が引き上げられる公算が強まってきました。
昨年、わずか、0.15%とはいえ、中小企業の融資金利の基準となる短期プライムレートが引き上げられました。
実際、年率0.15%といえば、借入残高100百万円当たり150千円で、月額の利払い増加額は12.5千円に過ぎません。
多くの中小企業経営者が「大したことなかったな」と感じたかもしれません。
しかしながら、今般、見込まれる市中金利の上昇幅は年率0.25%となっていて、金利の上昇ピッチが上がってくる予感が拭えません。
短期の繋ぎ資金のように、融資を受ける期間が短い場合はともかく、長期資金は返済期間が5年、7年(設備なら10年とか)といったケースが多く、返済期間が長いということは支払利息の減少ピッチがなかなか上がりません。
民間金融機関の場合、コロナ資金のような制度資金でない限り、普通の中小企業であれば、短プラ連動となっているケースがほとんどなので(信用金庫などでは超プラ連動となっていることが多いようです)、市中の金利が上がると、一定期間の後、一律に出来上がりの適用金利が引き上げられます。
このように、市中金利の上昇は、中小企業の支払利息の増加に直結するのです。
2 支払利息をコストとして認識する
市中の金利の引き上げが現実味を帯びる中、中小企業経営者としては、なんとか支払利息負担を軽減したいと考えるのは当然のことです。
しかしながら、製造原価や販管費を削減するのとは違って、支払利息の設定の主導権は、圧倒的に金融機関が握っているので、中小企業側が主体的に支払利息負担を軽減するのは容易なことではありません。
とはいえ、中小企業経営者としても、支払利息が増加するのを指を加えてみているわけにはいきません。
中小企業側が主体的に支払利息を軽減するためにできることはどのようなことがあるのかを考えてみます。
当たり前のことですが、第一にできることは、不要不急の借入は起こさないことです。
メインバンク担当者が、「社長、期末なので、長期の折り返しをお願いしたいのですが」とゴリ押ししてきても、おいそれと二つ返事で借入申し込みをしないことです。
さらに、長期借入金の月次返済を約定通りに行なっていくことで、借入残高を減らしていくことが肝要です。
加えて、短プラや市場連動型(TIBOR連動等)の借入金の適用レートは、原則として、債務者区分、信用格付で決まります。
このため、地味ではありますが、収益力をしっかりと高めて利益をより多く出せる体質に転換していくことと、創出した税引後当期利益を社外流出させることなく内部留保を蓄積して、安定した財務体質を実現していくことが喫緊の課題です。
収益力アップと財務体質の強化は、すぐに効果が出るわけではありません。
しかしながら、中小企業経営者は、収益力アップと財務体質強化という経営の基本に立ち返って、支払利息の増加の影響を最小限度に止めることに注力する必要があるのです。