【中小企業の銀行対策】中小企業向け融資の最大のポイントが保全にある理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業向け融資の最大のポイントが保全にある理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 銀行が重要視するのは返済原資である
2 元本返済に足るFCF(フリーキャッシュフロー)を創出する
どうぞ、ご一読下さい。
1 銀行が重要視するのは返済原資である
一般に、金融機関が中小企業への融資の判断材料となるのが、資金使徒、返済原資並びに保全という3つの要素です。
資金使徒とは、文字通りおカネの使い道で、機械を導入するための設備資金なのか、大口受注の立替資金なのか、増収に伴う増加運転資金なのかが資金使徒に当たります。
次の返済原資ですが、金融機関は融資した貸金を回収しなければならず、債務者の中小企業からすれば「借りたカネは返さなければならない」ということになります。
赤字で減価償却費を加味してもキャッシュフローが元本返済より不足すれば、近い将来返済できなくなってしまいます。
金融機関が回収の見込みのない融資を実行すれば、その役職員は背任の罪に問われかねません。
このため、金融機関にとっては、返済原資がきっちりと創出できていることを最も重要視するのです。
因みに、3つ目の保全ですが、資金使途が妥当で、返済原資も確保できていると判断された上で、万が一、デフォルトとなった時、信用保証協会の保証をつけるか、不動産担保でいくか、プロパーで行くか、どのように回収するかを融資の条件とするものです。
なので、「当社には担保を出しているのだから、融資してもらって当然やろ!」という経営者がなきにしもあらずですが、そもそも返済原資が確保できていなければ、保全をどうするという話には進まないのです。
このように、銀行が最重要視するのが返済原資なのです。
2 元本返済に足るFCF(フリーキャッシュフロー)を創出する
成長期の中小企業は、資金需要が旺盛です。
中小企業の場合、取引上の力関係から、売掛金の回収サイトよりも買掛金や未払金の支払サイトが短い傾向があるため、増収局面では資金需要が高まります。
このような増加運転資金を取引金融機関から調達するためにも、しっかりと利益を出して、元本返済に足るFCF(フリーキャッシュフロー)を創出することが何より肝要です。
返済原資は、キャッシュフロー計算書の他、簡易CF(=経常利益ー法人税等+減価償却費)という簡便な方法で算出することができます。
簡易CFが年間の元本返済額を上回る収益状況をキープし続けなければなりません。
中小企業は、自社の事業が収益事業であることを改めて認識して、元本返済に足り得るFCF(フリーキャッシュフロー)を創出できるようなビジネスモデルを維持しなければならないのです。