【中小企業の銀行対策】金融機関に必要なものはワクワクドキドキ感ではなく安心感である理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、金融機関に必要なものはワクワクドキドキ感ではなく、安心感である理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 ワクワクドキドキ感を金融機関は評価しない
2 返済に不安がないことを金融機関に全面に押し出す
どうぞ、ご一読下さい。
1 ワクワクドキドキ感を金融機関は評価しない
銀行や信用金庫といった金融機関は、なんといっても安全性を重視します。
金融機関は、預金を原資にして貸出をして売上高に相当する貸出利息を産み出すので、不良債権の発生は基本的に許されません。
ワクワクドキドキ感よりも、金融機関は安全性が大好物です。
不良債権の発生が金融機関に不都合な理由は、融資した貸金が不良化してしまうことで、回収の見込みが立たなくなります。
一方、回収した貸金が一般の預金者への預金の払い戻しの原資になります。
最悪の場合、大口不良債権が発生したことで、預金者が自身の預金がおろせなくなるのではないかと不安に駆られてしまうと、預金者は金融機関の店頭に殺到し、我先に預金の払い戻しを受けようとします。
これが金融機関における取り付け騒ぎで、関西でも、かつての旧兵庫銀行や旧木津信用組合では夜中になっても、預金者が預金の払い戻しを求めて行列をなしてしまい、典型的な取り付け騒ぎとなりました。
もちろん、かつてのバブル崩壊後の日本全体が信用不安に苛まれていた時のお話で、過去の物語といえばそれまでですが、令和の世の中で、物理的にこのような取り付け騒ぎが起こらないという保証は何もないのです。
考えてみると、破綻に追い込まれた金融機関は、不動産の値上がりを見越した土地転がしの短期資金の融資をジャンジャン出しました。
不動産が上がり続けるという土地神話の土地転がしの資金には、さぞかしワクワクドキドキ感で溢れていたことかと思われます。
平成の不良債権処理が一巡した令和の世の中では、金融機関はどこも安定した経営環境にあり、金融機関の信用不安なぞ、語られることはほとんどなくなりました。
社会の安定にも期するところで、北出は非常に好ましいことと考えています。
令和の世の中の金融機関には、ドキドキワクワク感は受けず、安心感だけが重要視されるのです。

2 返済に不安がないことを金融機関に全面に押し出す
金融機関に安心を与えるためには、どのようなことが必要でしょうか。
金融機関に安心感を与えるために必要なことはザクっと2点です。
1点目が、安定したBSです。
費用性や資産性のない資産を控除した実態BSで実質債務超過に陥っておらず、その懸念が少ないことです。
2点目が、返済原資を捻出できるようなフリーキャッシュフロー(FCF)が確保されていることです。
PL上で簡易的に返済原資を計算できる簡易CF(=「経常利益」ー「法人税」+「減価償却費)が年間返済額を上回っていることも返済原資が確保できているかの検証材料です。
仮に「簡易CF」<「年間返済額」の状態が続くと、現預金が減少していってしまうので、資金繰りがつかなくなってしまいかねません。
「簡易CF」<「年間返済額」を克服できなければ、どこかでニューマネーを調達するか、あるいはリスケジュール(返済条件の緩和)に踏み切らざるを得なくなります。
「簡易CF」<「年間返済額」で、実態BSが傷んでいると、ニューマネーの調達が難しくなるため、事業継続を優先するため、リスケジュールやむなしとなってしまいます。
このように、年間返済額を賄うに足るFCF(もしくは簡易CF)の確保は安定した銀行取引に必要不可欠なものです。
中小企業経営者は、自社が「簡易CF」<「年間返済額」に陥っている場合には、収益改善に大至急で取り組む必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。
