【中小企業のサバイバル】価格決定権のない商いに未来がない理由とは?
1 右から左の商売は滅んでいく
今日は、中小企業のサバイバルとして、自社で価格決定権のない商いに未来がない理由について考えてみます。
オンリーワンの会社を目指そう!
よく耳にする言葉です。
確かに、斬新なビジネスモデルを確立して、競合他社がほとんどないような商いは、経営者にとっては理想的な姿です。
しかしながら、ほとんどの中小企業は在来型のビジネスモデルからの転換ができず、旧態依然とした商いに終始してしまっています。
その理由は、例えば、経営改善計画を策定する際、具体的に取り組んでいく施策を明確化するため、アクションプランを作成しますが、アクションプランの施策をブラッシュアップしようとしても、なかなかユニークで、競合にさらされないようなビジネスモデルの構築が困難なケースが多いからです。
残念ながら、例えば、右から仕入れて、左へ売るような在来型の卸売業は、競合他社との熾烈な競争にさらされていることと、自社独自のメーカー機能がなく取り扱っている商品・製品が汎用品であるため、事実上、自社に価格決定権がありません。
そのような在来型の卸売業では、昨今の物価高で仕入の原価が上がってきても、おいそれとお客様に価格転嫁することができません。
営業担当者が、「あの、すみません。こちらの商品なんですけど、これくらい値上げをお願いしたいんですが・・・」とビビりながらお客様の仕入部長や購買部長に持ちかけたところで、「あ、そ。オタクじゃなくても他社さん、あるしね。オタク値上げって言うてるけど、他社さんは値下げの提案してくれてますけど、どうですの?」と反撃されたら一撃でアウトです。
営業担当者は、「すんません。失礼しました。会社に持ち帰って、値下げの検討させて頂きますから、どうか、他社さんへは勘弁して下さい」と泣きべそをかいて退散するのがオチです。
このようなビジネスモデルが成立するのは、大量に仕入れて大量に売るような業界大手と言われるような卸売業でなければ生き残ることができません。
大量に仕入れて在庫をどさっと保有して大量に売るには、多額の運転資金が必要となるので、中小、ましてや小規模事業者は全く歯が立ちません。
このように、単純な右から左への商いはいずれ滅んでいく運命にあるのです。
2 自社で価格を決められる商いに転換する
このように、特に、アフターコロナの世の中となれば、量を追うビジネスモデルはしんどくなります。
薄利多売の上、資金が必要となれば、そのような闘いに挑むべきではありません。
この先、中小企業が目指すべきビジネスモデルは、小さくてもいいから、自社で価格を決められる商い転換すべきです。
例えば、飲食店であれば、コースに飲み放題を加えて、1人4,000円では到底合いません。
どこまで行っても、安売り競争の蟻地獄から抜けられません。
他方、お客様の満足度を上げることを徹底することで、一人当たり8,000円の客単価となれば、収益力は圧倒的に高まります。
お客様の満足度が上がれば、リピート率が上がるため、ネット広告を含めた広告宣伝費を圧縮することができます。
収益力が上がれば、人件費の水準を引き上げることができ、良質な人材が定着することにも繋がって、ポジティヴが連鎖します。
また、卸売やものづくりの会社が、横に繋がって六次産業化することも、価格決定権を持つために必要な施策です。
もちろん、特に、我が国ではほとんどの財・サービスの市場が成熟しているので、自社で価格決定権を持つことは容易なことではありません。
しかしながら、中小企業、小規模事業者が生き残り、未来に向けて安定的に成長を続けていくためには、自社で価格を決められる商いにすることは避けて通ることはできません。
中小企業経営者は、自社を未来に残すためにも、在来型で、旧態依然としたビジネスモデルからの転換を常に模索していくことが必要なのです。