【中小企業の銀行対策】社有不動産を入担する合理性とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、社有不動産を入担する合理性について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 個人資産の担保を解除して社有不動産を入担する
2 会社と個人を分別して「ミニ上場企業」を作る

どうぞ、ご一読下さい。

1 個人資産の担保を解除して社有不動産を入担する

中小企業の銀行対策の仕事をしていて、つくづく思い知らされるのが、個人資産の入担問題です。

経営者保証ガイドラインの世の中にあっても、金融機関は既得権として、既に徴求している経営者の個人保証の解除にはなかなか応じようとしません。
弊所では、事業承継の円滑化のためにも、経営者の個人保証解除に注力をしています。
実際、経営者の個人保証を解除できれば、子息への事業承継は驚くほど円満に進められます。
子息は口には出しませんが、腹の中では、(なんで、親父の時の借金の保証人にならなあかんのや)と不満を持っています。
現経営者も同じで、(息子に俺と同じようなカネの苦労はさせたないからなあ・・・)というのが本音です。
下手をすると親子間の紛争のネタになりかねません。

個人資産は相続によって所有者が変遷していきます。
場合によっては、相続する人が会社とは関係ない親族である可能性もなきにしもあらずです。
その場合、会社を債務者とした根抵当権が個人所有の不動産に設定されていると、相続の支障になることは間違いありません。

一方、会社の不動産は当たり前ですが、会社が存続する限り、会社名義であることに変わりはありません。
会社名義の不動産は、相続の対象にはなりません。

このため、経営者の個人保証があって、一方、会社名義で事業に供している不動産があれば、個人保証を解除する一方、会社名義の不動産に根抵当権を設定することは合理的です。
会社名義で、事業に供している不動産は、本業でのキャッシュフロー創出に寄与しているため、事業に供している社有不動産を入担することはむしろ理にかなっているのです。

金融機関に対して、「個人保証を外せ!」と主張するだけでは、金融機関も「はいはい、わかりましたよ」とはなかなかなりませんが、個人保証解除に替わる保全の手段を提供することで、金融機関としては個人保証解除に取り組みやすくなるというわけです。

【中小企業の銀行対策】社有不動産を入担する合理性とは?

2 会社と個人を分別して「ミニ上場企業」を作る

北出は、個人的には、特に、中小企業の場合、意思決定が迅速にでき、経営者がリーダーシップを発揮しやすいオーナー経営が望ましいと考えています。
なので、現経営者からその子息、次は孫へと直系の一族で事業承継ができて、それが実現し、安定的に事業が継続できるような会社を作っていくべきだと思っています。

しかしながら、皇室の安定した皇位継承の問題じゃないけれど、純血による直系事業承継が持続できるかどうか、その保証は何もありません。
次の後継者として見込んでいた息子が突然、「このまま大学に残って研究者の道を歩みたい」と言い出すことがあるかもしれませんし、外国に行って、「多国籍企業で活躍したい」と考えるようになるかもしれません。

このため、直系一族での事業承継をベストとしながらも、会社を持続的に継続させていくためにも、信頼できる第三者に株式を譲渡するようなことも十分検討しなければならないかもしれません。

そのためにも、会社と経営者一族との間にはしっかりとウォールを立てて、厳格に分別して、会社の意思決定と業務執行を分けていくような会社の統治のあり方に見直すことも想定すべきです。
実際、上場を目指すかどうかはとにかく、一族経営から「ミニ上場企業」を作っていくような会社方針が必要かもしれません。

中小企業経営者は、自社を中小企業と蔑むのではなく、会社を社会の公器と位置付け、会社の体質を改造していくことを目指す必要があるのです。

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