【中小企業の銀行対策】経営者が知っておかなければならない期限の利益の意味とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、経営者が知っておかなければならない期限の利益の意味について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 期限の利益とは銀行用語である
2 期限の利益を喪失しそうになった場合の適切な対応法を考える
どうぞ、ご一読下さい。
1 期限の利益とは銀行用語である
中小企業経営者の中で、「期限の利益の意味を説明して下さい」と言われて正確に答えられる方は少数派ではないかと北出は勝手に考えています。
それもそのはずで、期限の利益とは、文字通り、銀行用語そのものです。
しかしながら、金融機関から長期資金を調達している中小企業経営者が期限の利益の意味を理解していないことは決して褒められることではありません。
さて、期限の利益とはどういう意味なのでしょうか?
ざっと言ってしまうと、毎月の返済日に元金と利息をきっちり払うことで、守られる権利のことを言います。
具体的には、約定返済日が毎月25日の借入金がある場合、毎月25日に元利金を普通預金や当座預金といった流動性預金から口座振替で金融機関に返済します。
毎月25日には、元利金を間違いなく支払わなければならないということです。
しかし、これを言い換えると、毎月25日より前には払わなくてもいいということです。
期限の利益がある限り、約定日が毎月25日である場合、20日に返済しろとは金融機関は言えないということでもあるのです。
これこそが、期限の利益の本質なのです。
一方、期限の利益の喪失事項も金銭消費貸借契約証書には謳われていて、例えば、税金を滞納していて、銀行預金が税務署から差押を食らったり、不渡を出したり、約定日に返済ができず延滞となったり、破産法等で法的措置に踏み切った場合などが期限の利益の喪失事項とされています。
期限の利益を喪失してしまうと、金融機関は残債について一括返済を請求します。
もちろん、1日や2日延滞したとしても直ちに一括返済とはなりませんが、仮に1日でも延滞すると、金融機関への信用は失墜してしまいます。
中小企業経営者は、なんとしても、期限の利益を守らなければならないのです。

2 期限の利益を喪失しそうになった場合の適切な対応法を考える
それでは、万が一、期限の利益を喪失しそうな状態に追い込まれた際には、中小企業経営者はどのように対応すべきでしょうか?
例えば、税金を滞納していて、税務署から真っ赤っかの督促状が来ていて、頻繁に納付するような電話が入っていても、それを無視している一方、銀行返済は通常である場合には、まずは何をおいても、滞納している税金を全力で収めなければなりません。
それでもなお、未納の分があれば、大急ぎで税務署に出向いて、納付計画を策定し、税務署の了解を得ることが緊急対応です。
なんといっても、税務署は国税徴収法に則って、滞納処分を行うことができるので、税務署を怒らせることがあっては絶対になりません。
税務署の了解をとりながら、資金繰りがカツカツであれば、取引金融機関に返済条件の緩和(リスケジュール)を要請します。
リスケジュールすることによって、当面、キャッシュが回ることが大切で、そのような資金繰り表も添付することが必須です。
よく混同されがちですが、延滞とリスケは全く別のものです。
延滞は、契約違反の状態にある一方、リスケジュールは改めて契約を結び直すことなので、例えば向こう1年間、元金返済を止めて、利払いのみにするという約束を新たに結んで、それを履行していくことで、期限の利益を再び取り戻すことができるというわけです。
金融機関もアホではないので、税務署が国税徴収法に則って徴収をすること自体、百も承知で、税務署と金融機関が競合しても金融機関に勝ち目がないことは明々白白なので、滞納状態にある税金を優先的に納付して、「滞納を解消するためにリスケジュールに応じてくれ」とお願いされた金融機関がリスケジュールを拒絶することはありえません。
このように、期限の利益と支払の優先順位は表裏一体のものと言えます。
中小企業経営者は、払うべきものは払いながら、資金繰りをつなげて事業を継続させるための危機対応に強くなる必要があるのです。

