【中小企業の銀行対策】メインバンク担当者を味方に引き入れておく必要性とは?
1 組織対組織だけれど、実質は人対人
中小企業と金融機関との関係は、ともすると、金融機関優位になりがちです。
組織の規模からして、ほとんどの中小企業は金融機関に及ばないことに加えて、こと、金融というおカネ、債権債務に関わる専門性故に、情報の絶対量で金融機関が優ってしまいます。
このような情報の非対称性は、中小企業にとって圧倒的に不利ですが、だからといって、中小企業経営者は、「債務者やから」と卑屈になる必要は全くありません。
本来的には、中小企業と金融機関はビジネス上の対等のパートナーです。
基本的にはそのスタンスで、中小企業経営者は金融機関と付き合うべきです。
更に、融資を受けているメインバンクは、基本的に債務者毎に担当者をつけてくれます。
主に、俗に「外回り」、名刺上は、「得意先課」とか「営業課」とかの部署に属する担当者が中小企業にとってのカウンターパートとなって、融資取引だけではなく、決算書や試算表、資金繰り表をやりとりして、定期的に業況報告をする、ビジネスマッチングや事業承継の相談に乗ってもらうなど、担当者は、中小企業経営者にとっては心強い存在です。
中小企業と金融機関との関係は、組織対組織となりますが、実質的には担当者ベースとのやり取りになるので、最後は人対人です。
もちろん、人対人なので、「こいつ、肌合わへんなあ・・・」とか、「なかなか機転の効く出来る奴や!」となりますが、そこは、ビジネス上のお付き合いと割り切る必要があります。
不幸なことに、「こいつ、肌合わへんなあ・・・・」となっても、未来永劫その担当者との付き合いが続くわけではありません。
担当者は、転勤や係替えなので、早ければ3年、遅くとも5年程度でどんどん交替していきます。
金融機関担当者に限らず、中小企業であっても、大企業であっても、「好き嫌い」ではなく、「損得」で行動するのが基本です。
今のご時世、多様性を認めることが当たり前です。
間違っても、金融機関担当者に啖呵を切るようなことは断じてあってはなりません。
2 メインバンク担当者は、メインバンクの中で唯一の応援団である
嫌なお話ですが、金融機関における融資の審査に於ける基本的なスタンスは「性悪説」です。
「業績が急に悪化するようなことはないだろうか?」、「社長には健康上の不安がないのかな?」だけではなく、「もしかしてこの決算書は粉飾しているのかも?」、「今、割ってる手形は融手(融通手形のこと)ではなかろうか?」と金融機関としては懐疑的になりがちです。
それもそのはずで、金融機関は、その長い歴史の中で、融資先とのトラブルを経験してきていて、不良債権になってしまうような懸念があれば、確実にその懸念を払拭する必要があるからです。
特に、本部の審査部とか、融資部とかの審査部門では余計にそういう傾向が強くなります。
そうした金融機関の中でも、特に、メインバンクの担当者は、「性悪説」が全てではない人間がほとんどです。
もちろん、担当者の人柄や力量にもよりますが、「なんとかして、社長のお力になりたい」、「資金繰りを安定させたい」という気持ちが先行します。
メインバンクの中で、融資先中小企業の唯一の味方が、担当者なのです。
メインバンク担当者は、中小企業経営者の応援団です。
中小企業経営者の皆さん、メインバンクの担当者といつコミュニケーションを取りましたか?
「そういえば、だいぶ、ご無沙汰しとるなあ」と心当たりのある中小企業経営者は、明日の朝イチにでも、「最近の業況報告をさせて欲しい」と担当者に電話を入れてみてはいかがでしょう。
「いや、社長、忙しいので、また今度にしてくれませんか」などと眠たいことを言うようなメインバンク担当者はいないはずですし、もしも、そんな担当者なら、さっさと見限って、ひたすら次の人事異動を待つことにしましょう。