【中小企業の生き残り策】値上げの可否が会社存続の鍵を握る理由とは?
今日は、中小企業の生き残り策として、値上げの可否が会社存続の鍵を握る理由について考えてみます。
今日の論点は以下の2 点。
1 原材料の値上がりはまだまだ続く
2 値上げができないのは「御社の代わりはいくらでもある」の証左である
どうぞご一読下さい。
1 原材料の値上がりはまだまだ続く
B to Bでも、B to Cに於いても、価格上昇のトレンドに歯止めがかかりません。
それは当たり前といえば当たり前で、日本の長期金利がようやく上昇の気配が見えているといっても、世界からみると、日本は未だ、マイナス金利、ゼロ金利を脱却することができていないように見えてしまうので、日米の金利差を反映する形で、ドル円相場は3ヶ月前130円台半ばであったのが直近では147円前後で推移しています。
実にたった3ヶ月で円はUSドルに対して1割も弱くなっています。
カロリーベースの日本の食料自給率は令和4年度実績でたったの38%(農林水産省資料より)と、先進国では最低水準、これでは、食糧価格が上がるのは当然です。
実際の食品メーカーから卸、卸から小売への企業間取引の為替の影響は概ね3ヶ月後に反映されるので、これから年明けにかけて、断続的に特に食糧の原材料価格の上昇トレンドが続くことが避けられそうにありません。
中小企業、メーカーも卸も小売も更なる原材料価格の上昇に備える必要があります。
2 値上げができないのは「御社の代わりはいくらでもある」の証左である
実際、弊所がお手伝いしている経営改善局面での中小企業でも、原材料が上がる(=「原価が上がる」)のにもかかわらず、「なかなか値上げが難しい」というケースが散見されます。
特に、汎用ものの商品や製品の場合、同じ商圏を同業他社と争奪していて、値上げをお願いすると、どこやらのCMではありませんが「じゃ、いいですー」となってしまうという現実があります。
値上げがのんでもらえないのは「御社の代わりはいくらでもある」と言われているのと同じことです。
先だっても中国地方を本社として全国展開していた給食業者が、役所から値上げをのんでもらえず、破産に追い込まれたケースがありましたが、値上げをのんでもらえないような取引先はこちらから「じゃ、いいですー」とお断りするくらいの強気な営業スタイルが必須です。
なぜならば、得意先が役所で、予算の都合で値上げをしてもらえないというのは、自社ではどうしようもない外部要因の「脅威」です。
外部要因の「脅威」は自社の経営努力では解決のしようがないので、そのような取引からは最低でも縮小、理想的には完全撤退というのが正しい経営判断と言えます。
もちろん、「今回だけは他社に取られるわけにはいかない。ここは採算よりもシェアを取りに行って、コンペティターを潰しに行く」という営業方針も当然ありですが、結局のところ、安値受注は長続きしません。
そのような消耗戦は短期決戦に絞らなければなりません。
値上げをのんでもらえないのにもかかわらず、その取引から撤退できないのは、もはや、売上だけを追い求めているだけで、世の中から存在意義がなくなっている会社と言っても過言ではありません。
中小企業経営者は、単純な価格競争に巻き込まれることなく、売上至上主義から脱して、お客様のことをよく知り、お客様の課題を解決する営業スタイルに会社を改造する必要があるのです。