【中小企業の銀行対策】メインバンクとの理想的なお付き合いの仕方とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンクとの理想的なお付き合いの仕方について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 メインバンクを定義する
2 地域シェアの高い金融機関が自然にメインバンクになる

どうぞご一読下さい。

1 メインバンクを定義する

非上場で、広く市場から資金調達することが極めて難しい中小企業にとっては、メインバンクとの取引は生命線です。

「メインバンクなんかどうでもええ」とうそぶく経営者がいるかもしれませんが、平時ならさておき、多くの中小企業経営者が先が見えないコロナ禍を経験して、メインバンクとの取引の重要さを痛感したはずです。

世間ではよく「メインバンク」と言われますが、改めて、「メインバンク」とはなんでしょう?
今更ですが、少し掘り下げてみることにします。

少なからぬ中小企業経営者に「メインバンクとはなんでしょう?」とお尋ねすると、「そりゃ、借入が一番多い金融機関」との答えが返ってきそうです。
確かに、メインバンクの定義の一つが「借入が最も多い金融機関であること」です。

ところが、メインバンクの定義はそれだけにとどまりません。

中小企業と金融機関との取引は、あくまでも「商取引」で、間違っても非営利ではありません。
中小企業が金融機関と良好な信頼関係をもとに、安定的に資金調達ができるメリットがある一方、金融機関も中小企業のメインバンクとなることでプラスの面がなければなりません。

なので、繰り返しますが、メインバンクとして他行よりも融資残高が多いことだけではなく、例えば、当座預金や普通預金といった流動性預金の平残(平均残高のこと)が潤沢であれば、金融機関からすると、低コストの預金を調達することができるので、金融機関の営業店として、資金調達コストを下げる効果があります。
あるいは、当座預金や普通預金にお客様からの入金(売掛金の回収)があることも重要です。
同時に、給与振込や総合振込をメインバンクから行うことで、金融機関営業店は役務収益(手数料)を得ることが出来ます。
不動産等の担保提供を行うのも、メインバンクだからこそです。

つまり、金融機関営業店からすると、融資先の名実ともにメインバンクになることで、
1 融資を伸ばして主要な稼ぎ頭である貸出金利息を増加させることができる
2 流動性預金の平残が多くなることによって資金調達コストを下げることができる
3 給振や総合振込で手数料収入を得ることができる
4 信用保証協会の保証付と担保提供を厭わないことで保全を図ることができる
上記4つのメリットを得ることが出来ます。

言い換えれば、メインバンクの定義として、
1 融資残高が他行よりも多いこと
2 流動性預金の平残が他行よりも大きいこと
3 給振・総合振込を利用すること
4 万が一の時のために、保全に協力すること
が挙げられます。
上記3つがメインバンクの定義なのです。

さらに、重要なことが、借りる側が、「御行(借りる側)がメインバンクなので、よろしく頼みますよ」で、貸す側も「当行(貸す側)が御社のメインバンクですので」と言う具合に、双方がメインバンクであることを認識し合うことも重要です。
北出の経験則で、一番困るケースとして、貸す側が「メインは他行さんですよね。 X銀行さんにまずはご相談されてはいかがでしょう」と相手が逃げを打ってくるケースです。
中小企業経営者の中で、「ホンマにX銀行がメインバンクと思ってくれてるやろか?」と心配になったら、上記3つのメインバンクの定義に自社が当てはまっているのかを検証し、メインバンクと思える担当者に「御行がメインなんやから、何かと頼みますよ」とジャブを入れてみるのも効果的かもしれません。

2 地域シェアの高い金融機関が自然にメインバンクになる

メインバンクの定義について、上記で考えてみました。
それを踏まえて、メインバンクの定義に忠実に従って、メインバンクに対して取引を深耕していくと、自然に、地域シェアの高い金融機関がメインバンクになってしまう現象が起こります。
例えば、給振をメインバンクにするのに当たって、従業員にメインバンクに給与振込用口座を指定してもらうと、「Y銀行じゃないと困ります。Z銀行ってATMどこにあるのかわかりませんし」と従業員の声が聞こえてきます。
地域内のシェアの高い金融機関であれば、支店等営業店があちらこちらにあったり、近所に商業施設の中に店舗外ATMが設置されています。

また、建設業で役所から受注していると、自然に都道府県や市町村の指定金融機関との取引が増えていきます。
そうなると、例えば、関西であれば、和歌山県の紀陽銀行、奈良県の南都銀行、三重県の百五銀行といった県内で圧倒的シェアを持つ金融機関への取引が集中していくことに自然になります。
また、大都市大阪でも、旧住友のSMBC、旧三和の三菱UFJ、旧大和のりそなといったメガバンクや大手行、預金残高1兆を超えるような大規模な信用金庫への集中度が増していきます。

地域シェアの高い金融機関ほど、取引先の数が多いため、ビジネスマッチングやM&Aの機会も増加していきます。

実は、忠実にメインバンクの定義に基づいて、メインバンクへの取引進行によって、メインバンクは自然と地域シェアの高い金融機関が自然にメインバンクになっていくことになるのです。

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