【中小企業経営者の心得】有限会社を誇るべき理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、有限会社を誇るべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の通り。
1 有限会社はどうやっても新設できない
2 有限会社は誇らしい会社組織である
どうぞ、ご一読下さい。
1 有限会社はどうやっても新設できない
時折、中小企業経営者の口から、「うちの会社は有限会社やから、早いうちに株式会社にせなあかんのかな」という声が聞こえてくることがあります。
北出は、法律の専門家ではありませんが、銀行取引上の実務を踏まえて、有限会社について今日は考えてみることにします。
平成18年5月、旧商法に代わって、新会社法が施行されました。
新会社法施行に合わせて、有限会社法が廃止されました。
有限会社法の廃止によって、新たな有限会社を設立することができなくなりました。
従来からの有限会社は、「特例有限会社」という名の株式会社に変わりました。
新会社法施行から18年弱が経過しました。
旧会社法では、株式会社は資本金10百万円以上、取締役3名以上、監査役も置かねばなりませんでしたが、今や、新会社法の下、株式会社は資本金1円で設立することができるようになりました。
取締役会や監査役会といった機関を設置したり、株主4名位以上といった要件を満たす必要もなくなりました。
また、有限会社の場合でも、資本金3百万円以上が必要でした。
旧会社法下では、会社経営者や会社役員という地位は、社会的に高いステータスを得ることができたように、北出は記憶しています。
もちろん、小資本でも会社を設立することが可能になることによって、起業を促進するという行政府の政策があったのでしょうが、残念ながら、新会社法施行以降でも、新規開業数は大きく伸びず、リスクをなるべく取らないような風潮が強まりました。
これでは、米国や中国のようなイノベーションが起こりづらく、新規開業の伸び悩みが、失われた30年を産んでしまった要因の一つであることは間違いなさそうです。
繰り返しますが、有限会社は、どう頑張っても、今、新設することはできないのです。
2 有限会社は誇らしい会社組織である
先ほども申し上げましたが、新会社法が施行された18年弱が経過しました。
これは、即ち、直近の18年弱の間は、有限会社を設立できないということでもあります。
さらに言い換えるならば、休眠会社であることを除けば、直近、18年弱の間、有限会社が存続し続けてきたということです。
リーマンショックがあり、新型コロナウイルス感染症拡大を乗り越えて、失われた30年の荒波の中、18年弱もの間、有限会社は生き続けてきたのです。
株式会社よりも有限会社を下に見るなんてことは、北出に言わせれば極めてナンセンスです。
冒頭にご紹介しましたが、時折、中小企業経営者の口から、「うちの会社は有限会社やから、早いうちに株式会社にせなあかんのかな」という声が聞こえてくることがあります。
北出は、迷わず、「社長、今時、有限会社組織であること自体が信用です。わざわざ、株式会社を名乗る必要なんか、全然ありません」と進言することにしています。
過少資本の最近できた株式会社と比較すれば、金融機関としては、有限会社組織の会社には、より大きな安心感を得ていること、間違いありません。
有限会社の経営者は、自社が有限会社組織であることを誇りに感じるべきです。
この先も、リーマンショックや新型コロナウイルス感染症を上回るような脅威が襲うことも想定される中、有限会社経営者は、自社のこれまでの歩みを時折振り返りながら、更なる会社のインベーションを巻き起こしていく必要があるのです。