【中小企業経営者の心得】既存従業員を辞めさせない経営努力が必要な理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、既存従業員を辞めさせない経営努力が必要な理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 中小企業の新規採用は簡単ではない
2 新規採用者は即戦力にはならない
どうぞ、ご一読下さい。
1 中小企業の新規採用は簡単ではない
弊所のお客様の中小企業でも、ご多分に漏れず、業種、業態を問わず、新規採用が簡単ではありません。
北出は、労務問題の専門家ではありませんが、人手不足が場合によっては会社の事業継続に支障をきたしかねないので、今日は、この問題を取り上げます。
中小企業の多くは、「人間戦術」です。
製造業でも、建設業でも、サービス業でも、従業員によるマンパワー頼みです。
ラインが完全自動化され、管理者だけがラインを監視するような大手製造業のようにはいきません。
飲食業のようなサービス業でも、特に、客単価の比較的高めの店舗業態では、良質な接客がリピートにつながり、注文は全てタブレットというわけにもいきません。
製造業、特に、町工場の場合、ハローワークや求人雑誌に求人を入れても、電話一本かからないケースが珍しくありません。
建設業では、人手が確保できないと、工期が遅延してしまいかねません。
仮に、経営改善局面の会社で、経営改善計画を策定していた場合、人手が足らないことによって、受注を確保できず、経営改善計画の業績を達成することができなくなる可能性さえあります。
マンパワー不足への対応は、今や、経営陣にとって無視できない重大な経営課題になってきているのです。
2 新規採用者は即戦力にはならない
仮に、中小企業として、必要な新規採用者を確保できたとしましょう。
ところが、新卒はもちろん、中途採用者であっても、よほどの業界経験者でない限り、即戦力にはなりません。
一人前になるまでは、短くて半年、もしかすると、3年程度はかかるかもしれません。
一人前になるまでは、こういってはなんですが、「教育期間」です。
会社への貢献度よりも、給与手当、労務費の方が高くつくと考えておくべきです。
このように、新採用はなかなか簡単ではありません。
中小企業においては、新規採用に注力するよりは既存従業員を、まずもって辞めさせない経営努力が必要ですし、現実的です。
マンパワーを確保することは、重要な経営課題です。
高齢化社会がますます進展していくと、ますますマンパワー確保の難易度が上がっていきます。
中小企業経営者は、昭和や平成の頃のスパルタ型人材教育から脱却して、辞めさせない経営を実践する必要があるのです。