【中小企業の銀行対策】申告後速やかに取引金融機関に決算説明を行うべき理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、申告後速やかに取引金融機関に決算説明を行わなければならない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 決算書は取引金融機関担当者から言われる前に提出する
2 決算説明は損益(PL)と貸借(BS)に重点を置く

どうぞ、ご一読下さい。

1 決算書は取引金融機関担当者から言われる前に提出する

上場企業の決算発表がピークを迎えています。
上場企業の場合、大昔の総会対策等への配慮から、決算月を3月末にする会社が多数見受けられますが、非上場の中小企業であっても、少ならぬ3月決算の会社が存在します。

非上場中小企業(資本金1億円未満)の場合、3月末決算であれば、税務当局への申告期限は5月末です。
税務代理の会計事務所が申告を5月末までに行えば、5月末には決算書一式は出来上がっています。
このため、融資を出している取引金融機関は、早ければ5月の最終週に「社長、決算書、できてきれば頂戴したいのですが」と担当者から電話が来たりします。

決算実績が良くても悪くても、取引金融機関の担当者から電話が来る前に、決算書を取引金融機関に持参して、決算説明を行うことが、取引金融機関の心証を鑑みると理想的です。
「言われる前に出してしまう」のが金融機関との信頼関係構築の第一歩です。

新型コロナウイルス感染症の影響が収束したことで、中小企業といえども、業種、業態を問わず、決算内容は好転しているケースが多いので、取引金融機関担当者からすれば、提出された決算書に業績回復、V字型回復への期待感が高まります。

非上場中小企業にとっては、取引金融機関への決算説明は上場企業の株主総会並みに重要なものです。
上場企業の株主総会の議長は、通常、社長がその役割を果たします。

中小企業経営者にとって、取引金融機関への決算説明は、社長が行うべき重要な仕事なのです。

2 決算説明は損益(PL)と貸借(BS)に重点を置く

決算説明を行う際に、中小企業経営者が留意すべきことが、ついついPL(損益計算書)の関心が向いてしまいがちなことです。

もちろん、金融機関としても、前期中、発生ベースでどの位利益が出たのかに大きな興味を示しますが、PLで最も金融機関側が関心を持つのが、年間に創出されるFCF(フリーキャッシュフロー)が年間返済額を充足させているかどうかです。

FCFが年間返済額に足りていなければ、どこかのタイミングで、中小企業側から後ろ向きの資金要請が出てこないとも限りません。

簡易CFは、営業外収益を除いた経常利益に減価償却費を加えることで算出されますが、ほとんどの金融機関担当者は、決算書を初見した時、簡易CFに真っ先に関心が注がれます。

次に大切なのが、BS(貸借対照表)です。
金融機関は、融資先中小企業の「安全性」をとても重要視するので、BSが健全であることに大きな大きな関心があります。
やや乱暴に言えば、PLで多少の赤字が出ていても、実態BSが健全であれば、金融機関は大して心配することはありません。
具体的に言えば、資産の部が重要で、在庫は適正か(盛ってないか?)、売掛金で不良化しているものはないか、立替金、仮払金等費用性の資産はないか、代表者一族への貸付金はないか、あれば前期比減少しているか、投資等におかしなものはないか、などなど、実態BSを毀損するような勘定科目の有無について点検します。
建設業で完成工事ベースで売上計上している場合、未成工事支出金と未成工事受入金は、最重要勘定科目です。

このようなことを中小企業経営者は念頭に置きながら、自らに課された金融機関への決算説明という重要な役割をしっかりと果たす必要があるのです。

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