【中小企業の銀行対策】取引金融機関に「安心感」を与えなければならない理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関に「安心感」を与えなければならない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 銀行には「ワクワク感」は不必要である
2 金融機関が重要視するのは「安全性」である

どうぞ、ご一読下さい。

1 銀行には「ワクワク感」は不必要である

経営者は、皆、創業時には「志」をもって、事業を興しました。
なんとか、成功して、事業を大きくして、願わくば、少しでも社会に貢献したい、経営者の「志」は篤いものがありました。

ところが、事業を続ける内に、「なんとか、単月で利益を出さねば」、「消費税はきっちり納めなければ」となって、経営者の頭の中は、「志」が後退して、義務感が募るばかりです。
現実の会社経営というのはそういうものなのでしょう。

他方、非上場中小企業の資金調達源である金融機関は、例外的な存在はあるものの、その社風(行風)は基本的に「保守的」そのものです。
金融機関の保守的な姿勢は、融資先にも影響を与えます。

リスクを取って、新たな事業領域に参入するとなると、取引金融機関担当者は、「うちも応援させて頂きます。社長、頑張って下さい」と口では言うものの、営業店(支店等)に帰店して、役席や、次席、部店長に報告を上げると、ついつい、「おい、ホンマに大丈夫なんか? うちがニューマネー出すのはリスクが高いぞ」と厳しい指摘を受けがちです。
新たな事業への参入となると、経営者のマインドとしては、「ワクワク感」で一杯になりますが、正味の話、金融機関には「ワクワク感」は受けません。
もっと言ってしまえば、「ワクワク感」は金融機関には不必要なのです。

他方、上場企業を支援する証券会社は、少々事情が違います。
主幹事証券会社は、「ワクワク感」が大好物です。
「ワクワク感」は買いの材料となって、株主の期待感を高めます。
株主の期待感こそ、株価を押し上げる絶好の要素です。

このように、銀行と証券会社とは、ワクワク感の好き嫌いがはっきりと分かれるのです。

2 金融機関が重要視するのは「安全性」である

銀行等金融機関は最も重要視するのが「安全性」です。
一時的な赤字が出ても、実態ベースのBSにしっかりと内部留保があれば、金融機関は特に懸念を示しません。

金融機関は、融資したおカネを着実に回収することが大切です。
金融機関に限らず、貸金業は、融資すること自体は簡単ですが、最も難しいのが「貸したカネを着実に回収すること」に他なりません。
特に、金融機関は、不特定多数の預金者から預かった預金を原資として、貸出を行っているため、不良債権の発生はご法度です(もっとも、不良債権はバブル期ほどではないにせよ、いまだ金融機関の懸念事項です)。
万が一、特定に金融機関に信用不安が流布されて、預金者が預金の払い出しに殺到する取り付け騒ぎが発生したら、大きな社会不安に繋がります。
かつて、関西でも、兵庫銀行、旧幸福銀行、木津信用組合など、金融機関の破綻が相次ぎました。
バブル崩壊後の金融不安を再発させないためにも、金融機関は、不良債権が増加することは許されないのです。

他方、新型コロナウイルス感染症拡大を経た今、社会のありようは変わり、消費者の行動変容も現実化しました。
中小企業といえども、経営者たるもの、過去の遺産を守り続けるだけでは、会社の明るい未来を開くことはできません。
中小企業経営者は、平素から取引金融機関とのコミュニケーションを取ることで、会社の真の姿を取引金融機関に開示して、取るべきリスクを取ることに取引金融機関から理解を得るための努力を惜しんではならないのです。

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