【中小企業の銀行対策】経営改善計画書が自社のカルテのような存在である理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、経営改善計画書が自社のカルテのような存在である理由について考えます。

1 アクションプランが経営改善の可否を左右する
2 カルテは長くトレースされる

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 アクションプランが経営改善の可否を左右する

新型コロナウイルス感染症の影響が収束したと思えば、次にやってきたのが円安禍です。
自社製品を自社ブランドで輸出できる中小企業はごくごく少数ですが、業種、業態を問わず、原材料の多くを輸入に頼っているのが大半の中小企業です。
円安は、売上原価をモロに押し上げます。
中小企業にとっては、一難去ってまた一難です。

外部環境が厳しい中、少なからぬ中小企業に経営改善が必要となってきています。
経営改善を図っていくために、メインバンク以下、取引金融機関各行に経営改善計画書を策定し、提出をし、協調体制を維持してもらえるよう、取引金融機関各行に働きかける必要があります。

経営改善計画書の肝となるのが、「アクションプラン」です。
「アクションプラン」は、個々の経営課題を明確化し、その経営課題を着実に解決していくため、必要な施策、その効果(金額ベースや率ベース)、そして、いつからその効果が顕在化させるかを明かにするものです。
そして、「アクションプラン」を実行に移していくことで、現進行年度を計画0年目として、計画1年目、2年目・・・とPLとBSが良化していくことを明示するのが経営改善計画書です。

なので、「アクションプラン」の出来次第で、経営改善が実現できるかが決まってくると言っても、過言ではありません。

「アクションプラン」を実行に移していくの際して、往々にして、現状を改革する必要があるため、「アクションプラン」を実行していくと、現場サイドから不協和音が出てしまいがちです。

しかしながら、現場からの不協和音に妥協することなく、粛々と「アクションプラン」を実行していくためには、経営者自身が腹を括って、不退転の決意で経営改善を図っていく必要があります。
時には、経営陣VS.現場サイドという不毛な対立が起きかねませんが、経営改善を果たして、収益が改善すれば、金融機関への返済原資を確保できるだけではなく、賃上げの原資も創出することができます。
経営陣と現場サイドは、最終的には、利害が一致するはずなので、経営者自身がブレるようなことがあってはならないのです。

2 カルテは長くトレースされる

経営改善計画の中核を占める「アクションプラン」ですが、経営改善局面の会社にとっては、一種の「カルテ」のような存在です。
経営改善計画書は、暫定3年間という比較的短期スパンの緊急避難的に作成するケースもありますが、ほとんどが10年計画です。

3年とか、10年とかの計画期間中は、モニタリング(定期的な業況報告)を通じて、経営改善計画の進捗状況を金融機関がトレースします。

他方、経営改善計画は、とかく、「金融機関向け」に作るわけですが、実は、中小企業側にとっても重要な計画です。
建前上、経営改善計画は「金融機関向け」ですが、同時に、オーナー中小企業の場合、連帯保証人でもある経営者自身にとっても、自らのマニフェストです。
約束したからには、必ずやり遂げるという経営者自身の姿勢が肝心です。

経営改善計画を策定し、金融機関に提出、協調体制を維持してもらうからには、経営改善計画は重たいものです。
「そんなつもりで計画を作ったわけではない」という中小企業経営者の泣き脅しは通りません。

中小企業経営者は、経営改善計画が自身のマニフェストであると共に、債権者である金融機関が経過期間を通じて、経営改善の進捗状況をトレースしていること忘れてはならないのです。

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