【中小企業の銀行対策】売掛債権と買掛債務とのバランスに注目すべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、売掛債権と買掛債務とのバランスに注目すべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 売掛債権と買掛債務とのバランスは取引先との力関係を反映する
2 資産を減らして負債を増やせばキャッシュは増える
どうぞ、ご一読下さい。
1 売掛債権と買掛債務とのバランスは取引先との力関係を反映する
「資金繰りを良くしたい」。
中小企業経営者の共通の願望です。
「資金繰りを気にすることなく、枕を高くして寝たい」というのが中小企業経営者のコンセンサスでもあります。
資金繰りに余力がないと、心のどこかで、前向きな仕事に取り組めません。
とはいえ、原価高と人件費の上昇は、中小企業の資金繰りにはいずれもネガティブに作用します。
これが、令和6年春の動かざる日本の現実です。
資金繰りをより良くするために、分析すべき項目はいくつもありますが、今日は、売掛債権と買掛債務とのバランスに絞って考えていきます。
製造業や卸売業は、常に売掛債権と買掛債務が発生します。
多くの中小企業が、取引の力関係上、どうしても弱くなりがちです。
大手から仕入れようとすると、「はよ払え」とばかり、買掛債務のサイトが短くなります。
売る側の立場からすると、「おたくだけやないからね」と競合先への乗り換えを暗に持ちかけられると、「90日手形で結構でございます」と、売掛債権のサイトが長くなってしまいます。
多くの中小企業の場合、「売掛債権の回収サイト」>「買掛債務の支払サイト」となってしまうので、資金繰り上、不利になってしまいます。
この回収サイトと支払サイトとのギャップを埋めるため、金融機関から運転資金の借入金が必要となります。
このような運転資金の借入金は、「正当な借入金」です。
逆にいえば、「正当な借入金」である運転資金を取引金融機関から安定的に調達することができれば、多少、回収サイトが長くても、お客様を失わずに済みます。
正当な借入金をタイムリーに調達するため、中小企業経営者は、メインバンク始め、取引金融機関との信頼関係構築に努めなければならないのです。
2 資産を減らして負債を増やせばキャッシュは増える
運転資金の借入金を取引金融機関から借り入れる取引を仕訳すると、
預金 **,***千円/借入金**,***千円
となって、単純に、負債を増やせばキャッシュが増えるという典型例が、運転資金を借り入れることです。
同様に、仕入先からの理解を得て、買掛債務の支払サイトを長くすれば、預金が減らなくなります。
次に、売掛金を集金した場合の取引の仕訳は、
現金 **,***千円/売掛金**,***千円
となって、売掛金という資産を減らすことで、キャッシュを増やすことができます。
とはいえ、営業現場の営業担当者は、お客様を獲得することにプライオリティを置いていて、集金の重要性を腹落ちしていません。
このような簡単な取引仕訳を営業担当者に理解させることで、売掛金をしっかり回収することの重要性を営業担当者に認識させることができます。
中小企業経営者は、「資産を減らして、負債を増やせば、キャッシュが増える」ことを理解し、資金繰り余力を高めていく経営努力を尽くす必要があるのです。