【中小企業の銀行対策】多機能化する金融機関を使い倒すべき理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、多機能化する金融機関を使い倒すべき理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 取引金融機関に自社のニーズを伝える
2 規模の大きな金融機関ほど情報が豊富である
どうぞ、ご一読下さい。
1 取引金融機関に自社のニーズを伝える
弊所では、お客様である中小企業経営者に、業績の良い悪いに限らず、取引金融機関に対して、定期的なモニタリング(業況報告)を行うようにしています。
中小企業経営者の中には、今だに金融機関への敷居が高いと感じている方が少なくなく、定期的なモニタリングに二の足を踏む方もいらっしゃいます。
定期的なモニタリングは、毎月が理想的で、モニタリングの材料としては、試算表(会計事務所になるべく早く前月試算表を上げてもらう)と資金繰り表(北出が社長からヒアリングしながら作成する)の2点で概ね十分です。
これに加えて、建設業であれば受注明細、複数の事業所や店舗を有する場合には部門別損益計算書などを添付します。
これらの資料だけで、30分位はゆっくり話ができますし、モニタリングを通じて、会社のビジネスモデルを金融機関担当者に伝えることが可能です。
自社のビジネスモデルを金融機関担当者が把握してくれると、追加融資や極度枠の更新時に稟議を起こす時も、スムースに稟議を書き進めることができます。
金融機関担当者としても、自分が担当する融資先のことをしっかり知りたいと考えているのです。
これらに加えて、自社が今後目指すべき姿など、会社が欲する情報など、自社のニーズを伝えることも重要なことです。
自社のニーズを伝えることがどのくらい重要なのか、章を改めて考えていきます。
2 規模の大きな金融機関ほど情報が豊富である
自社のニーズを取引金融機関に伝えるメリットは、金融機関が保有する豊富な情報を活用できることです。
ある程度規模の大きな金融機関、例えば、預金量で言えば、地方銀行など3兆円を超えるような規模感の金融機関であれば、営業エリア内のちょっとした融資先の情報が金融機関の中のネットワークの中に蓄積されています。
例えば、「もっと新規顧客開拓をしたい」といった会社として当たり前のニーズであっても、どのようなセグメントの会社を狙っているのか、エリアはどこを取りにいきたいのかといった自社の具体的なニーズをメインバンク担当者に伝えておけば、折に触れて、紹介をしてくれる可能性が高まります。
M&Aや事業承継といった分野でも十分相談に乗せることができます。
金融機関が情報を保有して、適宜融資先に提供するようになっている背景には、預金を原資に融資を行うという最も古典的な金融機関のビジネスモデルが徐々に限界に近づいているからに他なりません。
特に、地方の金融機関では、地場産業がどんどん衰退していって、20年先には、地方には融資すべき会社が残っていなくなるような事態にもなりかねません。
なので、通常の預貸の取引だけではなく、情報を売ることに金融機関では注力しているのです。
中小企業経営者は、資金の要請の時だけに金融機関の門を叩くのではなく、月次モニタリングを通じて、取引金融機関とのコミュニケーションを取り続ける必要があるのです。