【中小企業の銀行対策】経営改善計画を策定するメリットとは?

1 経営改善計画は「金融機関向けの始末書」ではない

今日は、経営改善が必要な局面にある中小企業が経営改善計画を策定するメリットについて考えます。
北出は、経営改善が必要な局面にある中小企業のお手伝いをする際、まず、経営者と共に、メイン行以下各行に、試算表と資金繰り表(に加えて建設業であれば受注明細)を毎月提出しつつ、足元の業況報告を行うことから始めることにしています。
そして、月次で発生ベースの損益が改善し、フリーキャッシュフロー(FCF)も増加する傾向となったタイミングで、メイン行と調整した上で、経営改善計画を策定します。
経営改善計画の期間は基本10ヵ年計画としますが、実質債務超過解消と要償還債務の償還年数が10年程度となる見込みが10年もかからないとシミュレートできる場合には、期間を5年とかに設定することもあります。
実質債務超過の解消と要償還債務の償還年数が10年程度になるということは、10年返済でリファイナンスの実現が視野に入ってくるので、債務者区分が「その他要注意先」もしくは「要管理先」を「正常先」に回帰させていく覚悟を債務者が持っていることを経営改善計画で表現します。
収益計画は、基本的に保守的として、メイン行等から実現可能性に疑義が出ないことに配慮します。
具体的な施策を実行することで、いつまでにいくら収益改善が進むことをアクションプランで表現して、アクションプラン実行から得られる収益とFCF改善効果を損益と貸借に落とし込んでいきます。
経営者自身の共感が必要な理由は、時として、中小企業経営者から「経営改善計画なんて出す必要あるんか?」という素朴な疑問が投げかけられる時があるからです。
中小企業経営者の本音としては、「金融機関への配慮から必要なんやろ」であり、もっと言えば、「まるで始末書やないか?」です。
確かに、アクションプランは、現在の経営課題を明確化してそれを解決していくという建て付けなので、「まるで始末書やないか?」となってしまうのも無理ありません。
しかし、大切なのは、経営改善計画策定の目的は、あくまでも経営改善が必要になった原因追求ではなく、会社を、事業を次世代に残していくための未来予想図を作ることです。
従って、間違っても、経営改善計画書は、「金融機関への始末書」では決してないのです。

2 経営改善計画書に必要なのが経営者自身の共感である

「金融機関への始末書」感を払拭するのに重要なことが、「よっしゃ、着実にアクションプランを実行してくで」という経営者自身の決意です。
メイン行等債権者からの支持を頂くことは当然として、肝心な経営者が共感し、アクションプランの実行を会社の重要な経営方針とすることが重要です。
逆に、経営者自身の共感がないまま、経営改善計画書を金融機関に提出しても、経営者としては喉元過ぎれば何とかで、「あとは知ったこっちゃない」となってしまいます。
また往々にして、アクションプランを実行していく初期段階では、試行錯誤が続くことが多いため、どうしても結果がすぐに目に見えません。
結果が目に見えないと、経営者は疑心暗鬼になって、「計画は作ってみたけど、糠に釘で、やってられへんな」となってしまいます。
結果が即ついてこない中で、経営者がこれでもかこれでもかと愚直にアクションプランを実行していくためには、気合と根性、そして、経営改善計画への共感が必要不可欠です。
北出自身も、経営改善計画を策定して終わりではなく、実行支援に注力していて、経営者の心が折れそうになると、経営者に喝を入れることもままあります。
またPDCAでもないのですが、アクションプランを実行していく中で、経営者の中で少しずつノウハウが蓄積されてきて、ちょっとした成功体験からその後の経営改善のプロセスが大きく進展することもあります。
経営改善の結果の変数は、正比例ではなく、自乗曲線です。
これでもか、これでもかとアクションプランを実行し続けることで、遠くない将来にきっと想定通りの経営改善実績を出すことができるはずです。
中小企業経営者の皆さん、経営改善は一日一日の積み重ねです。
ローマは一にしてならず、なのです。

 

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