【中小企業の銀行対策】金融機関からの評価は融資残高だけでは決まらない理由とは?

1 定量的か、定性的か

今日は金融機関からの評価は、融資残高だけでは決まらない理由について考えてみます。
金融機関の役割は、一種「インフラ」です。
単に、預金を預け入れたり融資を受けたりするだけではなく、仕入先や経費支払先への総合振込、従業員への給振などなど、企業にとって銀行取引は、重要な機能です。
もちろん、電子マネーの普及によって「脱・金融機関」の動きがないわけではありませんが、少なくとも我が国での金融機関のプレゼンスはそう簡単に揺らぐものではありません。
必要に応じた運転資金や設備資金を金融機関から資金を調達している中小企業経営者からすると、決してケンカを売ってはいけない金融機関から自社がどのように評価されているかについて気にならない訳がありません。
一般に、金融機関の融資先への判断は、「信用格付」で決まります。
財務内容の評価がその中心で、金融機関によって違いはありますが、「正常先」の中でも、「信用格付」で10段階などで評価され、基本的に融資のレートも「信用格付」で決します。
「正常先」の中でも、一番上と一番下とでは、天と地くらいの差があるので、「うちは、実質ベースで資産超過やし、毎期安定して利益出てるから安心安心」と楽観的になってはいけません。
一つでも上の「信用格付」を狙っていく弛まぬ努力が中小企業経営者には必要です。
他方で、決算書が最も重要な金融機関の与信判断材料であることは間違いありませんが、決して決算書が全てとは言えません。
決算書、試算表のような定量的な要素に加えて、近時では「事業性評価」と評して、決算書に出てこないような定性的な部分についても与信の判断材料になっています。
金融庁をはじめとした所轄官庁も、定性的な要素をしっかりと評価するように金融機関に行政指導しています。
昔の銀行員ではありませんが、金融機関役職員も「目利き」の力が求められます。
中小企業の側からすると、オーナー経営であれば、オーナー社長の人柄や経営手腕は会社の経営に大きな影響を与えます。
金融機関から「この社長、ボンボンで、ボンクラやな」と思われたら、圧倒的に不利となります。
困ったことに、このような「悪い材料」は担当者の担当替えの度に脈々と引き継がれていきます。
中小企業経営者は、おそらく学校の成績は良かったであろう金融機関役職員と対等に渡り合っていけるような力量やお人柄が必要です。
金融機関の評価は、定量的要素への依存度が未だ高いものの、この先、定性的要素がより重要視されていく方向性であることは間違いなさそうです。

2 金融機関は「総合的」に評価する

次に、金融機関との取引についてもう少し掘り下げます。
ともすれば、多く借りていたら、金融機関には金利で儲けさせてあげてるんやから、評価が上がるはず、と考える中小企業経営者がいるかもしれません。
ところが、必ずしもそうとは言えません。
まず、借入残高は「末残」ではなく、「平残」主義です。
月末の31日だろうが、月中の15日だろうが、同じ1日です。
なので、月末だけ融資が増えても今時の金融機関はあまり評価しません。
次に、お客様からの入金が入っているか、総合振込、給振はされているかについては重要です。
当座預金のように、金融機関からするとコストゼロの資金を潤沢にしてもらっているとありがたく感じます。
つまり、当座預金の平残を上げることは重要です。
悪い例を挙げると、金融機関が運転資金で融資を実行してすぐに、その資金を他行に資金移動するなんてことは金融機関の心証を明らかに悪くします。
また総合振込、給振は手数料で金融機関が儲かるので、金融機関としては助かるお話です。
金融機関は、貸出金から得られる貸出利息と預金者に支払う預金利息の差額で儲けることが本来の本業ですが、手数料収入を上げることは本部から営業店に強く指示されています。
また、個人を含めた投信販売も金融機関の重要な営業施策です。
もちろん、投信は、元本割れのリスクが付き纏うので、リスクをしっかりと把握することが大切ですが、金融機関担当者からの「投信、いかがでしょうか?」はむげに断るべきではありません。
このように、金融機関は融資先に対して、融資残高だけではなく、様々な取引について総合的に判断を下しています。
時に、「なら、どうやって資金を個々の金融機関に置いておけば良いのか?」という質問が来ますので、その答えとしては、借入残高シェアに合わせて流動性預金(当座預金や普通預金)を置いておくというのが最も無難な銀行対策です。
中小企業経営者は、日々の金融機関との取引を経理任せにするのではなく、自らが銀行取引にコミットして、メイン行、サブ行、それ以下行との位置付けをしっかりとつけていくことが必要なのです。

【中小企業の銀行対策】万が一にも、アホな担当者に当たってしまった時の対処法とは?も併せてご一読下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA