【中小企業の事業承継】会社がベストコンディションのタイミングで事業承継すべき理由とは?

今日は、中小企業の事業承継として、会社がベストコンディションでのタイミングで事業承継すべき理由について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 会社にとってのベストコンディションとは?
2 会社を数年単位でベストコンディションに仕上げていく

どうぞご一読下さい。

 

1 会社のベストコンディションとは?

創業者から次の事業承継者に経営をバトンタッチするのは、会社にとって大変なイベントです。
中でも、オーナー経営の場合で、創業者の父親から子息に経営を任せるというのは、会社のみならず、オーナー一族にとってもお家の一大事です。
社長、経営者の交代は、そのタイミングで、取引先や金融機関など数多くのステークホールダーに書面で通知をするのが普通なので、体面上の問題もあり「失敗できない」出来事、謂わば一発勝負です。

創業者からすると、自身の分身とも言える会社の経営を禅譲するのは一大決心がいることですし、もっと言えば、受け継ぐ側の子息も大変なプレッシャーを受けるのは間違いありません。
事業承継後の会社の姿とすると、創業者は、代表権を持つかどうかはとにかく、会長職や相談役に就任して、経営の第一線からは退くのが望ましいと言えます。
また、受け継ぐ側の子息は、事業承継後は、しっかりと自らのカラーを出してリーダーシップを発揮して、部下を導き、対外的な活動にも注力しなければなりません。

もちろん、受け継いだ子息である新社長にとってどうしても手に余るような経営上の課題(例えば、直近で言えば新型コロナウイルスの感染拡大といったような非常事態など)が噴出した場合には、会長や相談役にお伺いをたて、大所高所からの助言を受けるべきです。
このような親族間、中でも、創業者からその子息への事業承継は、万事「円滑、円満」でなければなりません。
なので、会社が最も状態が良くて、安定した経営状態にあって、財務的に言えば、当貸やコミットメントラインのような短期資金の調達枠を含めてキャッシュが十分に確保できているというのが会社のベストコンディションであり、事業承継へのタイミングということができます。

2 会社を数年単位でベストコンディションに仕上げていく

とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大の影響が収束してから間もない令和5年の夏に、「当社は現在、過去にはないくらいのベストコンディションにあります」というような中小企業はそうそう転がっているわけではありません。
また、原材料高や人手不足は、中小企業経営にはネガティブな外部要因です。

なので、今、焦って「今年中になんとしてもベストコンディションに持っていって、お正月には新体制にする」というような性急な事業承継は極めて危険です。
例えば、創業者が健康を害していて時間的な猶予がないような場合を除けば、事業承継は数年単位で行うのが妥当です。
数年単位の中で、1年目はこれ、2年目はそれ、3年目はあれ、という具合に事業承継への具体的な準備活動を進めていくべきです。
ここで大切なのが、事業承継の準備は早めに着手することです。
実際、創業者が70歳を超えてから事業承継の準備をするとなると、時間的な猶予がありません。
残念ながら、元気な創業者とはいえど、70歳を超えると、判断能力も低下してしまいます。

事業承継を受ける側の子息も、準備が必要です。
次世代経営者としての帝王学も必要です。
どこかの中古車販売業者の前副社長のような人間はもしかすると学校の勉強は優秀なのかもしれないけれど、人望もなく、リーダーとして会社を引っ張っていくのは無理があります。
若いながらも、「この新社長なら安心、安心」という社内外からの信頼感を得ることが新社長にとって必要な素養です。

このように、事業承継は一夜にしてなりません。
数年単位で、会社をベストコンディションに仕上げていきつつ、いい意味で、子離れ、親離れすることが、円満、円滑な事業承継の鍵となるのです。

 

【中小企業経営者の心得】オーナー社長が「忖度されるのが当たり前」と認識しなければならない理由とは?もご一読下さい。

公式サイト「次世代に残せる老舗企業の創造」もご覧下さい。

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