【中小企業経営者の心得】オーナー社長が「忖度されるのが当たり前」と認識しなければならない理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、オーナー社長が「忖度されるのが当たり前」と認識しなければならない理由について考えます。
今日の論点は2点。
1 「社長」の名刺は社長自身が思うよりも世の中では重たい
2 オーナー社長は商売が大きくなればなるほど忖度される
どうぞご一読下さい。
1 「社長」の名刺は社長自身が思うよりも世の中では重たい
日本国内の企業の数はざっと360万社。
その内、中小企業は9割を超えます。
バクっといえば、世間には、「社長」と呼ばれる人が360万人いて、日本国民が1億10百万人とすれば、「社長」比率は約3%です。
もちろん、その中には、ソフトバンクGの孫正義氏やユニクロ・GUの柳井正氏も含まれますし、従業員数名の零細企業の社長も含まれます。
社長と呼ばれる人の職業は「会社経営者」なのであって、世間一般からすれば、「代表取締役社長」の名刺を差し出されたら、サラリーマンであれば「おお、社長さんですか」と思わずビビってしまいます。
社長の中でも、いわゆる議決権を実質持たないサラリーマン社長もいれば、中小企業の多くが創業者にして社長であるオーナー社長もいて、頭数としては、圧倒的に中小企業のオーナー社長の方が大多数です。
オーナー社長は、代表取締役社長として取締役会を、筆頭株主、支配株主として株主総会をコントロールできる立場にあります。
現に、会社法は、取締役の権限だけではなく、責任を明文化していて、「吹けばとぶような会社ですから」と謙遜してみても、一サラリーマンとは違って、社長の名刺一枚でさえ、世の中ではなかなかの重みがあることは間違いありません。
社長は、自身のことを「大したこっちゃない」と思ってみても、世の中は、そうは簡単に許してはくれないのです。
2 オーナー社長は商売が大きくなればなるほど忖度される
以前、弊所のお客様の社長からこんなお話を聞いたことがあります。
「年商が10億超えると、集まってくる人が変わるんや。こっちから名刺を持っていく必要がなくなって、向こうからいろんな人がやってきてくれる」
これは、会社の規模を指し示す端的な言葉です。
年商が大きくなればなるほど、取引先をはじめ、様々なステークホールダーが増えます。
社長が相手のことを知らなくても、相手は社長のことをよく知っていたりします。
仕入がある会社であれば、仕入先が増えますし、仕入れ先からすると買って頂ける金額が大きくなるので、大のお得意先です。
仕入先の営業担当者は、ことある毎に、上司を連れてくるようになりますし、担当者の肩書きも従来は平社員だったのが、役付社員が担当になったりします。
メインバンクも支店長が折に触れてやってきて、「資金が必要でしたら、いつでもご遠慮なくお申し付けください」と言う具合に、破格の対応です。
創業家で、オーナー社長であれば、いつ辞めていくかわからないサラリーマン社長と違って、お付き合いが長くなるのが普通です。
こうなってくると、陰に陽に、社長を忖度する人たちが増えるのは当然です。
創業家のオーナー社長は、社内外問わず、自分が忖度されることを忘れてはなりません。
裸の王様になってはいけません。
オーナー社長たるもの、自身が忖度されるものだと認識した上で、取引先にせよ、金融機関にせよ、謙虚に立ち居振るまう必要があるのです。