【中小企業経営者の心得】外注先をペンペンに叩くのをもう止めなければならない理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、外注先をペンペンに叩くのをもう止めなければならない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 中小企業にとって「外注費」は実質的に「労務費」である
2 外注先は集約されていく

どうぞ、ご一読下さい。

 

中小企業にとって「外注費」は実質的に「労務費」である

製造業、建設業などの業種では、損益計算書(PL)に「売上原価」を計上します。
「売上原価」は、原則として、原材料費、労務費、外注費並びに経費で構成されます。
中でも、外注費は、ビジネスモデルにもよりますが、原材料費と労務費に匹敵するような大きな金額となるケースが大半です。

多くの場合で、外注先に対して、直接雇用とは違い、受注の繁閑に応じて、外注先への発注をコントロールできるため、外注費は変動費化してきました。
長らく続いてきたデフレの影響から、変動費化した外注費はコストの調整弁となって、「利益を出すためには、外注先をペンペンに叩けば良い」という風潮が散見されるようになりました。
ラインによって作業が分業化されている大手メーカーと違って、中小製造業の場合、製造現場では作業の多くを手作業に頼りがちです。
建設業でも、元請の地場ゼネコンは現場監督等の管理者を配置するだけで、作業の大半は外注先に依存しています。

このため、中小企業にとって、「外注費」は実質的に「労務費」の性格を強く帯びているのが現状です。

外注先を使っている中小企業が人手不足に喘いでいるのと同様に、外注先での人手不足は深刻です。
下請法違反で告発されるようなことがあっては、会社の事業存続にも関わります。
必要以上の外注費カットはメインバンクの理解も得られません。
ハゲタカではあるまいし、利益を出すために外注先をペンペンに叩けば良いという発送はもはや時代遅れも甚だしいのです。

2 外注先は集約されていく

このように、外注先も外注先に仕事を出している親会社も、もはや運命共同体、一心同体です。

親会社としては、複数の外注先に仕事を出しているのが普通です。
一口に外注先といっても、比較的規模の大きな外注先もあれば、経営者が高齢化し後継者もおらず設備投資もなかなか踏み切れないような零細な外注費先も存在します。

こうなってくると、親会社からすれば、品質と納期を当たり前に遵守してもらいながら、安定的に仕事をやってもらうためには、高齢化した経営者と50代以上の従業員ばかりといった外注先では、いつ、「今まで、大変お世話になりました。3ヶ月先で自主廃業することとなりました」という具合に、突然自主廃業してしまう懸念を払拭することができません。
インボイス未対応のような外注先では、「ほんまにちゃんと税務申告しとるんかいな」と心配になってしまいます。

一方で、後継者が会社で活躍していて、品質改善への活動にも積極的に取り組んでいるような外注先であれば、親会社は安心して仕事を発注することができます。
資金繰りが大変ということになれば、親会社が資金支援をすることも現実には起こっています。

このように、近い将来、後継者のいない外注先が消滅していくことが予想されます。
中小企業経営者は、自社の外注先の状況をしっかりと見極めて、外注先をペンペンに叩くのはもう止めにして、後継者が確定している外注先を大切にし、必要に応じて支援していくことも検討していく必要があるのです。

 

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