【中小企業の銀行対策】中小企業にとっては死活問題の短期プライムレート引き上げの意味合いとは?

今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業にとっては死活問題の短期プライムレート引き上げの意味合いについて掘り下げます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 関西を中心とした各銀行の短期プライムレートの引き上げ状況
2 中小企業にとっての短プラ引き上げの意味合いについて

どうぞ、ご一読下さい。

1 関西を中心とした各銀行の短期プライムレートの引き上げ状況

先月1月24日、日本銀行は政策金利の引き上げを決定しました。
これを受けて、関西を中心とした各銀行は、相次いで、短期プライムレートの引き上げを発表しました。
各銀行の短プラの引き上げ後のレートと引き上げ実施日について、以下にまとめました。

まずは3メガバンク。
旧三和銀行の後を継ぐ三菱UFJ銀行、関東系のみずほ銀行、旧住友銀行の色深い三井住友銀行は、いずれも現状1.625%から1.875%へ。
引き上げ幅は3行横並びで0.250%、実施日は三菱UFJ及びみずほが3月3日、三井住友が3月17日。
関西2府4県に本店を置く関西みらい銀行が2.650%から2.900%、京都銀行、滋賀銀行並びに南都銀行が2.325%から2.575%、みなと銀行が1.950%から2.200%、紀陽銀行が2.450%から2.700%で、いずれも引き上げ幅は横並びで0.250%、実施日は、滋賀銀行、南都銀行並びに紀陽銀行が3月3日、京都銀行、関西みらい銀行並びにみなと銀行が3月12日。
関西2府4県に隣接する十六銀行及び大垣共立銀行(いずれも本店は岐阜県)が2.125%から2.375%、百五銀行及び三十三銀行(いずれも本店は三重県)が2.125%から2.375%、阿波銀行(本店徳島県)が2.125%から2.375%、徳島大正銀行(本店徳島県)が2.575%から2.825%、鳥取銀行(本店鳥取県)が2.250%から2.500%、中国銀行(本店岡山県)が2.125%から2.375%で、実施日は3月3日もしくは3月17日となっています。

短期プライムレートに各銀行でばらつきがある理由としては、銀行の最大の資金調達源である預金において、当座預金や普通預金等流動性預金のウェイトが高いメガバンクや上位地銀は調達コストが低いため、短期プライムレートの設定が低くなる一方、旧第二地銀等固定性預金(定期預金や積立預金)のウェイトが流動性預金よりも高い銀行では調達コストが高くなる(流動性預金よりも固定性預金の方が預金金利が高い)ため、短プラの設定も高めとなってしまうというのが一般的です。

いずれの銀行も短プラの引き上げ幅は横並びとなっていますが、去年9月の1発目の短プラ引き上げ時よりも各銀行の短プラ引き上げの発表のタイミングが早くなりました。
去年9月の短プラ引き上げが久々のことで、各銀行が様子見を決め込んでいたようでしたが、今回は、各行がほぼ同じタイミングで短プラ引き上げを発表しました。
いわば、1回やってしまえば2回目以降はじゃんじゃん上げていくという銀行のスタンスなので、今後、年内にも3回目の短プラ引き上げが見込まれます。

【中小企業の銀行対策】中小企業にとっては死活問題の短期プライムレート引き上げの意味合いとは?

2 中小企業にとっての短プラ引き上げの意味合いについて

多くの中小企業の借入金利は、短プラ連動となっています。
一部の優良先については、TIBOR3ヶ月もの等市場金利連動となっていますが、市場金利連動で借入金利が設定されている融資先は、ごく一部です。

今回の短プラ引き上げ幅は年率0.250%で、仮に1億円の借入平残であれば、年間の金利増加額は250千円で、月額20千円少々です。
「月々2万円なら大したことはない」と中小企業経営者が考えてるようではいけません。
既に、去年の秋の1回目の短プラ引き上げから通算すると、引き上げ幅は年率0.400%に達します。
今後、よほどのことがない限り、短期金利の引き下げは見込まれないため、0.400%の引き上げ分はこれからもずっと負担が続くことになります。
さらに、今年中に0.250%の引き上げがあれば、通算の短プラ引き上げ幅は0.650%に達します。

債務者区分が正常先で、長期借入金の約定返済が順調に進めば、短プラが引き上げられても、借入残高は減少していくので、利払い負担は軽減されていきます。

しかしながら、長らくリスケジュール状態にあって、月額元本返済額がわずかで、償還年数が50年や60年にも達するような経営改善局面の会社の場合、元本はなかなか減らないので、支払利息がどんどん膨らんでいってしまいます。
短プラの上昇によって、経営改善で創出した営業利益が支払利息の増加によって、簡単に吹っ飛んでしまいかねないのです。

さらには、融資先によって短プラに上乗せ幅(例えば、自行短プラプラス0.500%)が設定されているので、その上乗せ幅が信用度をそのまま表していると言っても過言ではありません。

中小企業経営者は、支払利息を固定費で、かつ今後増加傾向を辿るものとして認識して、財務戦略上、借入金の圧縮に注力していくのと同時に、自社の出来上がりの金利が何%であるのかをつぶさに理解しておく必要があるのです。

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