【中小企業経営者の心得】中小企業が事業継続困難に陥ってしまう最近の原因とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、中小企業が事業継続困難に陥ってしまう最近の原因について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 事業継続困難に陥る原因は昔とは異なっている
2 優先債権の支払を後ろ倒しにしては絶対にいけない

どうぞ、ご一読下さい。

1 事業継続困難に陥る原因は昔とは異なっている

年末を迎えて、街も道路も慌ただしさが目立ちます。
年末年始は、どこの中小企業もおカネの出入りが大きく、中小企業経営者も、経理担当部署も何かと気を遣う必要が出てきます。

こんなタイミングでなんですが、今日は、事業継続困難に陥る最近の原因が、昭和や平成の時代とは異なっていることについて、掘り下げてみます。

昭和や平成の時代の事業継続困難に陥る原因は、ひとえに資金繰りがつかなくなることに尽きました。
仕入先や外注業者に振り出した手形や先日付小切手の決済日が迫る中、最後の望みであった後ろ向き運転資金の取引金融機関への要請も否決となり資金調達が困難になって、不渡が不可避という事態に追い込まれ、事業継続を断念、代理人弁護士に事後処理一任、破産手続きへというケースが多くありました。
中小企業金融円滑化法もなく、返済のリスケジュールという選択肢も事実上なかったため、倒産は今よりもずっと多い状態が続きました。

ところが、平成の世の中が進み、手形・小切手の流通量が一気に減少し、不渡自体もほとんど出なくなりました。
直近では、紙の手形・小切手は事実上なくなり、電子債権に取って変わることとなりましたが、電子債権よりは、買掛金、未払金、未払費用は、事実上「ある時払い」となっているのが現状です。
回収がままならない仕入先としては、いっそのこと、取引を切ってしまった方がスッキリするのかもしれませんが、取引を切ってしまったら、残債を回収することは極めて困難になってしまいます。
このため、月次の取引を継続しながら、回収遅延分を上乗せして少しずつ回収遅延分を回収していくことにならざるを得ないのです。

このようなことから、資金繰り倒産が減少しているというのが現実なのです。
金融機関へのリスケジュールと「ある時払い」によって、資金繰りがつかず事業継続が困難となるケースは相当程度減少しているのです。

【中小企業経営者の心得】中小企業が事業継続困難に陥ってしまう最近の原因とは?

2 優先債権の支払を後ろ倒しにしては絶対にいけない

返済のリスケジュールと仕入先、外注先への「ある時払い」で延命している会社であったとして、「ある時払い」が許されないのが「優先債権」です。
端的に言ってしまうと、租税公課の類です。
法人税、源泉税と消費税の税務署と社会保険料の年金事務所は、「ある時払い」を許してくれることはありません。
幾度かの督促の末、納付がなされない場合には、差押の予告がなされ、最悪の場合、お客様(売掛先)に通知がいったりしてしまいます。
税務署や年金事務所から買掛金(お客様の側から見た場合)の先に「支払うな」という旨の通知が届いたら、買掛先への信用は地に堕ちてしまいます。
少なくとも、「あそこの会社には、仕事を出すな」ということになってしまって、事実上、受注がなくなってしまいます。

取引先と違って、普段、税務署や年金事務所とはお付き合いがないので、資金繰りがキツくなると、税務者や年金事務所から督促状が届いても、「ま、ちょっと放っておくか」となってしまうケースがなきにしもあらずです。
「ま、ちょっと放っておくか」は極めて危険な対応で、少なくとも、納付期限が切れる段階で、税務者、年金事務所に馳せ参じて、資金繰り表を提出して、納付の見込みを明確にして、分納をお願いすることが極めて重要なのです。

税務署も、年金事務所も、国税徴収法(年金事務所の場合はそれに準ずる形)に則って、会社の財産を事前に調査して、滞納先の動向を把握しています。

中小企業経営者は、税務署、年金事務所への対応を最優先にして、租税公課の滞納が起こる前に、事業継続を最優先にするため、取引金融機関へのリスケジュールを要請して、租税公課の滞納を回避しなければならないのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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