【中小企業の銀行対策】49対51が妥当な理由とは?
1 中小企業に於いて、100対0はあり得ない
今日は、49対51が妥当な理由について考えてみます。
大企業と中小企業との違いは、取引上の力関係の差であると言えます。
具体的には、大企業は、下請け中小企業に対して様々な要請をしますが、お仕事を頂いている立場の中小企業からすると、大企業からの要請を断ることはできません。
中小企業側から、大企業に対して、「こうして下さい」とお願いすることは極めて難しいのが現実です。
立場の弱い中小企業向けに、公正取引委員会が相談窓口を設けていますが、公取に寄せられる苦情などは、中小企業にとってあまりにも理不尽なケースがほとんどです。
他方、中小企業相互の取引の場合、その取引条件は、それぞれにメリットが及び、リスクやデメリットも共有することが多く、「お互い様」で取引が成立します。
中小企業の場合、自動車事故でのおかまを掘られるような100対0で完勝するような取引はほとんど皆無なのです。
100対0があり得ない取引が連続する中小企業が利益を出し続けるのは容易なことではありません。
譲れるところは譲りながら、勝ち取らなければならないところは勝ち取るのが中小企業経営者の経営手腕といっても過言ではないのです。
2 目指せ! 49対51
中小企業と金融機関との力関係は、どうでしょうか?
そもそも、中小企業にとってメインバンク以下、金融機関はビジネスパートナーなので、中小企業経営者が金融機関に対して対等であることを目指すべきです。
しかしながら昔から、金融機関による「優越的な地位濫用」といった言葉がある通り、残念ながら、多くの場合で、債務者中小企業に対して、債権者である金融機関がより強い立場に立つことが少なくありません。
そうはいっても、中小企業がやられっぱなしでは面白くもありません。
中小企業経営者の本音とすれば、「メインバンクに一矢報いたい」と思うこともありそうです。
そこで、中小企業がメインバンク以下、取引金融機関各行と良好な関係を築くためにも、ハナから100対0を目指すべきではありません。
もっと言えば、せっかくいてくれる担当者の顔に泥を塗るようなことをしてはいけません。
担当者は、所詮権限がないので、担当者と敵対するのは、中小企業にとって百害あって一利ありません。
例えば、金利(レート)に関して、必要な資金をプロパーで対応してくれるのであれば、信用保証協会の保証料相当分位に金利をみてあげると、担当者の顔が立ちます。
中小企業経営者にとって、金融機関との取引を安定的なものにするためには、金融機関というカッチカチの組織とどう向き合うかというかということでもあります。
担当者の顔を立てながら、必要な資金を調達する、協調体制を維持してもらうのに、中小企業経営者が目指すべきは、49対51なのです。