【中小企業の銀行対策】勇気をもって不採算取引から撤退する大切さとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、勇気をもって不採算取引から撤退する大切さについて考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 「今回だけは泣いてくれ」は永遠に続く
2 元請も親会社も経営体力が弱っている
どうぞご一読下さい。
1 「今回だけは泣いてくれ」は永遠に続く
長らく、我が国の商慣習として、親会社や元請があって、子会社や協力会社を「協力会」などとして囲い込んで、ピラミッド型の取引集団を作ってきました。
特に、製造業や建設業ではそういう傾向が強く、経営体力が相対的に弱い中小企業が親会社や元請の傘下で仕事をもらう形で商いが行われてきました。
中小企業や子会社は、購買部長や現場監督から、「悪いけど、今回だけは泣いてくれ。必ず、次で儲けさせてあげるから協力してよ」という具合に泣き脅しが入ったものです。
仕事が切れてしまっては困ってしまう中小企業や子会社の社長は、購買部長や現場監督に物申すこともできず、「わかりました。次はお願いします」と購買部長や現場監督に要求をのんできました。
そういう取引関係にある程、親会社や元請会社以外の仕事をすることは許されず、「下請法ってなんやっけ?」という状態が常態化してきました。
それでも、昭和から平成にかけては、親会社や元請会社に経営体力があったため、たまには、美味しいお仕事をいただけることもありましたが、多くの場合で、「今回だけは泣いてくれ」が続き、特に近年では、「今回だけは泣いてくれ」が永遠に続くのではないか・・・と立場の弱い中小企業経営者は疑心暗鬼に囚われて久しくなりました。
購買部長や現場監督の側も、本社での集中購買が徹底されたため、おカネにまつわる権限を取り上げられてしまいました。
親会社・元請企業と、協力会社・下請企業との力関係は否応なく変化してしまっています。
「今回だけは泣いてくれ」は永遠に続きかねないのです。
2 元請も親会社も経営体力が弱っている
「今回だけは泣いてくれ」は永遠に続きかねない状況に陥っている背景として、親会社、元請そのものの経営体力の弱体化です。
競合他社との競合はどの業界でも熾烈で、多くの業界が価格競争にさらされています。
こうなってくると、親会社、元請自身が生き残りをかけるようになり、協力会社や子会社を丸抱えすることが難しくなってきています。
親会社や元請は、協力会社や子会社に対して、「どうぞ、そちらでどんどん営業し、新規受注を取って頂いても構いません」と半ば放置状態です。
こうなってくると、協力会社や子会社も親会社、元請頼みというわけにはいかなくなります。
自分の餌は自分自身で賄うことを当たり前に求められてきます。
極めて難しいのですが、協力会社や子会社も自力で営業して新規のお客様を獲得したり、自社製品を世の中にリリースする必要に迫られます。
ある意味で、双方ともに、子離れ、親離れが待ったなしです。
協力会社や子会社は、ある意味で、今まで落ち着けられてきた不採算取引から撤退する勇気が必要となります。
併せて、従来から親会社や元請におんぶに抱っこだった協力会社や子会社も、営業だけではなく、増加運転資金や設備資金が見込まれるため、資金調達ができる会社にしなければなりません。
中小企業が親会社や元請頼みから脱却し、不採算取引から勇気を持って撤退するためには、自社での営業力強化に加えて、メインバンクとの信頼関係を構築し、まともな銀行取引を実現する必要があります。
メインバンクとの信頼関係があれば、メインバンクが紹介してくれるビジネスマッチングのチャンスを得ることも見込めるようになります。
先立つものがなければ、親離れはできません。
メインバンクとの信頼関係を構築することによって、不採算取引からの撤退を実現することができ、親離れを加速させることができるのです。
中小企業経営者は、改めて、自社でしっかりと必要な資金調達ができるような安定したメインバンクとの信頼関係構築を実現する必要があるのです。