【中小企業経営者の心得】会社中に手順書を整えなければならない理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、会社中に手順書を整えなければならない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 「担当者の頭の中にある」ような業務を撲滅する
2 ISOのように手順書は視覚的に直感的にわかりやすく整備する

どうぞご一読下さい。

 

1 「担当者の頭の中にある」ような業務を撲滅する

中小企業や小規模事業者の会社の中身を見させてもらって、常々感じることが「この業務は担当者Aさんの仕事です」という現象です。
大企業に比較すると、中小企業や小規模事業者は、事業規模が小さく、業務のパターンも限定的であるにもかかわらず、担当者Aさんは自分の仕事を周囲に共有せず、まるで「ここは俺のシマやから入ってくんな」という具合です。
担当者Aさんはまるで、社内の「抵抗勢力」のような出立です。

特に、総務、人事や経理といった間接部門でそういう風潮が強いように感じます。
会社が上場準備を始めようとすると、社内の業務を全て洗い出し、パターン化して、パターン別に業務フローを明文化する作業が必要ですが、担当者Aさんは、この後に及んでも、まだ抵抗する気配です。

特に、間接部門に於いて、隣のAさんとBさんが相互に互いのやっている仕事の内容を知らないままで、場合によっては、AさんとBさんの業務がドンがぶっていることも珍しくありません。
AさんとBさんの業務を白日の元に晒してしまうと、「なんや、これやったら1.5人分の仕事やないか」なんてこともままあります。
そもそも、「担当者の頭の中にある」ような業務があるとすれば、経営者、社長でさえ、業務の実態を把握できません。
ましては、担当者Aさんが退職するとなった時、Aさんがやっていた仕事はろくに後任に引継ぎもされず、「Aさんて、この仕事、どうやってたんやろ?」と忘却の彼方に業務内容が葬り去られてしまうリスクが高まります。
Aさんは「ほれ、俺をクビにでもしてみろや!」と居直りかねず、これこそが不正の温床そのものです。

これでは、業務の効率化、適正な人員構成を実現することは望み薄です。
中小企業経営者は、「担当者の頭の中にある」ような業務を撲滅しなければなりません。

2 ISOのように手順書は視覚的に直感的にわかりやすく整備する

他方、中小であっても、ISO9001を取得していた製造業は、特に製造現場を中心に、個々の工程や機械の操作に関して「手順書」や「操作手順書」がしっかりと整備されています。
文書で明文化するだけではなく、視覚的にもわかりやすく、写真付きの操作手順書が整えられています。
ISOはおカネを除いた会社の手続きを社内の末端にまで周知徹底させるということで、会社のステージを上げることに大きく貢献しました。

そうはいっても、ISO9001認証を受けていた会社であっても、間接部門に於いても手順書の整備が不十分であったりします。
ロジックツリーのように、パターンXに対して、業務Y、業務Zがあるという具合に、間接部門の業務をパターン化し、明文化する必要があります。

ここの業務をパターン化し、明文化しておけば、「Aさんしかわからない業務」を撲滅することができ、Aさんの代替要員でBさんも同じ仕事ができるようにしておけば、AさんもBさんも支障なく有給を消化できますし、退職時にも大きな混乱を回避することができます。
経理部門であれば、会計ソフトの入力について、パターン化しておけば、仕訳ミスの発生を未然に防ぐことができ、試算表の精度を上げることも可能になります。
会社中に手順書を視覚的に直感的にわかりやすく整備することは、単に会社を守るためだけではなく、銀行対策にも有効です。

中小企業経営者は、今一度、会社の中で、「書面(PC作業も当然加)で仕事をする」文化を会社に根付かせる共に、会社の全ての業務を手順書によって視覚的、直感的にわかりやすく整備する必要があるのです。

 

【中小企業の銀行対策】中小企業こそ金融機関以上のI Tリテラシーを高めなければ理由とは?も併せてご一読下さい。

公式サイト「次世代に残せる老舗企業の創造」もご覧下さい。

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