【中小企業経営者の心得】新規事業立ち上げには一定の自己資金が必須である理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、新規事業の立ち上げに際しては、一定の自己資金が必須である理由について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 新規事業立ち上げには、頭に設備資金の負担がのしかかる
2 キャッシュが増加し始めるのは損益好転の後である

どうぞご一読下さい。

1 新規事業立ち上げには、頭に設備資金の負担がのしかかる

コロナ禍からこっち、事業再構築補助金の後押しもあって、新規事業を立ち上げる中小企業が少なからず存在します。
本業があって本業のシナジーが見込まれる新規事業への参入しかり、独立して創業する場合もしかり、意外とおカネがかかるのが頭の設備資金です。
別に工場を立ち上げて生産設備を導入するわけではないのですが、什器備品や車両運搬具まで含めると、「あらら、意外と最初におカネが要るんやな」というケースが散見されます。
もちろん、そのために、補助金があって、金融機関からの借入金があるわけですが、補助金が実際に下りてくるのは支払った後数ヶ月後であったり、金融機関からの借入金は返済が始まります。

補助金が下りてくるまでの数ヶ月間は自己資金で立替える必要が出てきます。
借入金の返済についても、当初12ヶ月間は元本返済据置としても、元本据置にする分だけ、正味の返済期間は元本据置期間分短くなります。
元本返済据置期間を短くすると、返済スタート後の月額元本返済額が大きくなってしまいます。

元本返済期間を長くしておいて、実際返済が始まるタイミングで困ってしまうのは、コロナ資金と同様です。
当初の借入金の金額を小さくするため、リースを組んだりすると、新規事業や創業のタイミングではリース料率が高くなってしまって、毎月の損益とキャッシュフローを痛めてしまいます。

そもそものお話ですが、補助金があるから新規事業を立ち上げようというような「補助金ありき」の新規事業は極めて危ないです。
既に新規事業のプランがあって、準備を進めていく中で補助金がうまく当てはまるようなケースでないと、新規事業はうまく行きません。
昔も今も、「補助金ありき」のビジネスはうまくいかないケースがほとんどです。

新規事業立ち上げには、頭にどっと設備資金の負担がのしかかることを、中小企業経営者は改めて認識する必要がありそうです。

2 キャッシュが増加し始めるのは損益好転の後である

新規事業立ち上げ頭のタイミングで、予想以上におカネが必要になることをお話しました。

次に、立ち上げ後、月次の損益とキャッシュフローの関係について見てみます。
新規事業や創業の計画の中で、立ち上げ後0ヶ月、1ヶ月、その後6ヶ月後までは発生ベースの損益(PL)が赤字で、7ヶ月目以降、黒字化するという収益計画があったとしても、キャッシュが実際に増えてくるのは、もっと後となるケースばかりです。

なぜならば、ほとんどの事業で、お客様からの回収は後だけれど、支払が先行するためです。
7ヶ月目で発生ベースの損益が黒字転換しても、月末時点の現預金残高が減少から増加に転じるのは、早くて9ヶ月目です。
月次の損益とそれに連動する資金繰り表をセットにした「収益・資金繰り計画」を策定してみると、「ずっとキャッシュが減り続けて、増加に転じるのはそんなに先なんか」となってしまいます。
既往の事業でも、支払が先行するのに、新規事業であれば、余計に仕入先や外注先、経費支払先からは十分な支払いサイトを許してくれません。
下手をすると、キャッシュオンで支払を要求されることも想定しておかねばなりません。

既往の事業でも、新規事業であっても、大切なのは、月次の損益とそれに連動する資金繰り表をセットにした「収益・資金繰り計画」が事業の成否の鍵を握るのです。
頭の資金の要請を受けた金融機関の審査部門も、「収益・資金繰り計画」を重要視します。

中小企業経営者は、特に新規事業に関しては、損益もキャッシュフローも保守的に想定して、多少損益が計画よりも下振れしても資金ショートしない程度の一定の自己資金を保有しておくことが重要なのです。

 

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