【中小企業経営者の心得】業績悪化がモラル低下をもたらす理由とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、業績悪化がモラル低下をもたらす理由について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 会社業績が会社のモラルの程度に直結する
2 業績悪化が先か、モラル低下が先か?

どうぞご一読下さい。

1 会社業績が会社のモラルの程度に直結する

経営改善局面の会社からお声がけを頂き、その会社に初めて訪問する際に往々にして感じることが、「社内のモラルが低下してるなあ」です。

会社の社屋や什器備品が新しいとか、古いとか、そういう問題ではありません。
経営改善局面の会社に限って、皆が行き来をするフロアに平気でホコリが溜まっていたりします。
わざとトイレに立ってトイレの隣の給湯室にふと目をやると、お昼休みが終わった午後の時間帯であるにもかかわらず、マグカップやお皿が汚れたままでシンクに積み上げられています。
出先でお客様から無理難題の無茶振りをされて、嫌な思いをしながらおカネを運んできてくれる営業マンが外出していく際にも、中にいる社員の誰からも「いってらっしゃい!」の声もかかりません。

こんな社内の雰囲気では、営業マンも一歩社内に出てしまえば、「やってられるか、今日は喫茶店で寝てよ」なんてことにもなりかねません。

確かに、業績が悪化すれば、世間で言われる賃上げが実現されず、賞与も出なくなります。
挙句の果てには、お昼時、会社の休憩室で、スマホで転職サイトへ登録する社員が続出します。

社内のこのようなモラルの低下は、会社を訪問するお客様や仕入先、外注先、取引銀行の担当者は、敏感に感じ取っています。
お客様の担当者と共に訪問した上司が帰りの業務用車の中で、「この会社、もう長ないから、売掛作んなよ」と部下に指示を飛ばすかもしれません。

社内にいる社員よりも社外から訪問したお客様や銀行員の方が、会社のモラル低下を的確に察知するのです。

2 業績悪化が先か、モラル低下が先か?

次に、業績悪化とモラル低下との関係性について考えてみます。
業績悪化が先なのか、モラル低下が先なのかは、鶏と卵のような関係なのかもしれませんが、業績悪化のファクターの方が先行するケースが多いように考えています。
なぜならば、業績悪化は、社内の因子によるものだけではなく、外部要因に起因するケースが少なくないからです。

最近の事例では、新型コロナウイルス感染拡大が挙げられます。
新型コロナウイルス感染拡大は、多くの中小サービス業の業績悪化を招き、少なからぬ会社が経営破綻したり廃業を余儀なくされました。
生き残った中小サービス業でも、コロナ資金の相次ぐ調達によって有利子負債の拡大を招き、稼ぎ出した営業キャッシュフローの多くを借入返済に充当せざるを得なくなっています。

他方、コロナ前から長らくの間、リスケジュール(条件変更)をしていて、まともに返済ができていないような会社では、モラル低下は顕著です。
若手従業員は早々に退職して、残っている従業員は、50代以上、低賃金が常態化しているため、社内の活気はなきに等しい状態であったりします。

その一方で、会社の厳しい状況を経営者が自らの言葉で、従業員に伝えて、社内の一致結束を呼びかけて、経営改善に取り組んでいる真摯な経営者も現に存在します。

業績が一時的にせよ悪化したり、経営改善局面に陥った経営者こそ、経営者としての手腕が試されます。

中小企業経営者は、経営改善局面にある会社を対岸の火事にすることなく、「明日は我が身」という強い危機感を持って、この乱世を勝ち残っていく必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】資金繰りがタイトな時にこそメインバンクの支援が重要となる理由とは?も併せてご一読下さい。

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