【中小企業の銀行対策】売掛金の回収度合いが会社の運命を変える理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、売掛金の回収度合いが会社の運命を変える理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 営業部門に売掛金の回収を徹底させる
2 売掛金の回収姿勢は会社を映す鏡である

どうぞご一読下さい。

1 営業部門に売掛金の回収を徹底させる

わが国での独特の商慣習の一つが「掛売り」です。
諸外国のほとんどは、北出が知る限り、「キャッシュオン」です。
役務の提供が完了して、納品書を切って、締日支払日に合わせて請求書をお送りして、先方の支払日に銀行振込、小切手の集金、場合によっては、集金日に小切手5割、120日手形5割、なんていう昭和型の取引慣行が業界によっては、当たり前に存在します。

逆に、集金日に小切手5割、手形5割と回収条件が明確になっている方が、資金繰りがしっかり読めます。
手形の銘柄に支障がなければ、メインバンクで割引してもらうこともできますし、仕入先に裏書譲渡することも可能です。

ところが、北出がいくつも経験してきた中では、売掛金の回収がルーズな会社が世の中には少なからず、存在します。
勘定科目明細の売掛金に、「その他いくらいくら」と記載してあれば、要警戒です。
経理の方にお願いして、売掛帳(売掛台帳)を見せてもらうと、相手が倒産したわけではないのに、数年前の売掛金が放置され、そのまま記載され続けています。

そんなケースに限って、「社長、売掛で、貰えてないもん、あるんと違いますか?」とお尋ねしても、「イヤイヤ、うちはそんなもん、全然ないで」とシャーシャーとお答えになるわけです。
お客様からの回収条件の割には、売掛金の残高が平均月商を加味してもどう見ても多かったり、勘定科目明細の売掛金の「その他」の記載はメインバンクの担当者も目をつけています。
「腐ってる売掛があるな」。
メインバンクにはバレバレで、知らず知らずのうちに、実態BSから売掛金が一定額査定されてしまいます。
下手をすると、債務者区分が正常先から滑り落ちてしまう懸念さえ拭えません。

確かに、中小企業は、取引の力関係が相対的に弱いので、ついつい、売掛金の回収が後手に回りがちです。
「そんなにうるさいこと、言うんやったら、おたくとは取引解消や。おたくの代わりはいくらでもあるからな」

得意先から取引を縮小されたり切られたりしたら困ってしまう営業担当者は、ついつい、「いやいや、そんなこと言わないでください。会社には、上手いこと言うときますから、引き続き、お願いします」と下手に出ざるを得なくなります。

売掛の回収がスムーズではない理由として、会社のビジネスモデルが旧態依然として、同業他社との差別化ができていないことも見逃せません。
中小企業経営者は、ビジネスモデルを修正し、同業他社との差別化を図ると共に、営業部門に債権回収を至上命題とし、月末近くであれば、売掛先への集金を励行させる必要があります。

2 売掛金の回収姿勢は会社を映す鏡である

このように、北出がこれまで見てきた経験則からすると、資金繰り悪化の要因の一つとして、売掛金の回収難が挙げられます。
逆に、売掛金の回収が徹底されている会社では、資金繰りに窮するようになることは少ないのです。

例えば、経理部門が、月初に売掛金が発生して2ヶ月超となっている売掛先を担当者別にリスト化して、担当者がお客様に回収方法を再確認するような手法が有効です。
資金繰り余力が低下している会社の場合では、万が一にも、お客様に再確認した回収日を経過しても回収ができてない場合には、経理部門が再度アラートを出して、必ず、月末までに売掛を回収するような仕組み作りが急務です。

債権回収を当たり前にする会社にすることが、経営者としての力量です。

大阪では、毎月25日以降は、あちこちで下道が渋滞します。
少なくない営業担当者が、領収書を手に、お客様のニーズを掘り起こしつつ売掛金の回収に奔走しています。
中小企業経営者は、資金繰りを良化させ、運転資金借入金を圧縮させるためにも、会社全体で債権回収を徹底することで、会社の運命を明るく変えることができるのです。

【中小企業の銀行対策】「気合」と「根性」では経営改善が実現できない理由とは?も併せてご一読下さい。

【中小企業の銀行対策】「気合」と「根性」では経営改善が実現できない理由とは?
【中小企業の銀行対策】「気合」と「根性」では経営改善が実現できない理由とは?

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご覧下さい。

V字型回復のイメージ
経営改善によって収益回復できる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA