【中小企業の銀行対策】中小企業の経営改善が緩やかな二次曲線の連続である理由とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、中小企業の経営改善が緩やかな二次曲線の連続である理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 経営改善の初期段階は計画未達の連続である
2 経営改善8合目を超えた時点から効果が顕在化する
どうぞ、ご一読下さい。
1 経営改善の初期段階は計画未達の連続である
中小企業において、利益を取りに行って、結果として地雷を踏んでしまって、リスクが顕在化して、赤字に陥るケースは少なくありません。
あるいは、新型コロナウイルス感染症拡大のような想定外の事態によって、満足に営業ができなくなり、深傷を負ったサービス業を中心とした中小企業は、数数多です。
そのような経営改善局面の中小企業において、北出がお手伝いをさせて頂いて、経営改善計画書の類のものを経営者と共に策定をし、メインバンクを始めとした取引金融機関各行に協調体制の維持をお願いすることは北出にとっては日常的です。
ともすれば、計画書の類を金融機関に提出をして、例えば、リスケジュールに応じて頂いた時点で、経営者によっては「もうこれで一安心」となるケースが少なくありません。
しかしながら、計画書の類は出して終わりではなく、金融機関にご承認頂いたところから、経営改善は本格的なスタートを切ることになります。
そこからが、「本番」なのです。
ところが、いざ、本番を迎えてみると、計画書の中のアクションプランを実行していく中で、「なかなか成果が出ないやないか」と経営者が感じることが多くなります。
仮に、経営者の期待値をy、アクションプランを実行に移していって実際に得られる実績値をxと定義すると、間違いなく、経営改善初期段階では、
「y<x」
の状態が続いてしまいます。
アクションプラン自体が斬新であればあるほど、従来からのやり方を大きく変えるため、会社の中に齟齬や軋轢が生じたりするのが当たり前です。
経営者としても、「y<x」の状況が続くと、経営改善への意欲が減退して、経営改善へのモチベーションが低下してしまいかねません。
そういう場合には、北出は、「社長、それは当たり前です。焦りはあるでしょうが、そういうものです。とにかく、アクションプランを一個一個、着実に実行に移して、効果測定を粘り強く続けましょう」とお声がけすることにしています。
そんな簡単に実績が出れば誰も苦労しません。
経営者としては、経営改善の結果がなかなか伴わない初期段階だからこそ、折に触れて「必ず、経営改善を果たして、グッドカンパニーにしてみせる」という志に立ち返る必要があります。
2 経営改善8合目を超えた時点から効果が顕在化する
上記のグラフは経営改善進捗状況を概念化したものですが、本来、経営者の期待値yと同値の実績値xを叩き出すことができると、経営者の経営改善へのモチベーションを維持することができます。
つまり、経営者の経営改善へのモチベーション維持には「y=x」が望ましい(「y>x」の方がより望ましい)わけですが、実際にはそうはなりません。
上記でも申し上げている通り、経営改善の初期段階どころか、しばらくの間は、緩やかな二次曲線が続くのが普通です。
関数でいえば、「y =αx²」(かつ、α<1)です。
α<1が続くと、y=xの一次関数の経営者の期待値を下回り続けます。
しかしながら、仮に、α=0.15のように、αが1を大きく下回る極めて緩やかな二次曲線であっても、8合目を過ぎる頃には、y=xの一次曲線よりも高い実績値を得ることができるというのが北出のこれまでの経験則からの実感です。
そこを超えると、アクションプランに関するPDCAが更に回るようになって、経営改善がより一層加速していきます。
当初の最終的なターゲットであるグッドカンパニーの実現がさらに近づきます。
緩やかな二次曲線がy=xの一次曲線よりも大きな実績値を得られるようになるまでの間は、経営者は我慢の連続です。
このように、中小企業は「ヒト、モノ、カネ(+情報)」に限りがある中で、経営改善を果たし切って、グッドカンパニーになれるまでは、かなりの長距離走となることは避けられません。
中小企業経営者は、「経営改善は長丁場である」ことを念頭に置いて、短距離走ではなく、かなりの長距離走を走り切れるよう、モチベーションを維持していく必要があるのです。