【中小企業経営者の心得】2023年の企業不祥事から学ぶ中小企業のあるべき姿とは?
今日は、2023年に顕在化した企業不祥事から学ぶ中小企業のあるべき姿について考えます
今日の論点は以下の2点。
1 図らずも従来型ビジネスモデルの限界がみえた
2 中小企業での不祥事は会社の息の根を止める
どうぞ、ご一読下さい。
1 図らずも従来型ビジネスモデルの限界がみえた
2023年も10日を残すのみとなりました。
年末慌ただしい中ですが、2023年の企業不祥事を中小企業経営者目線で振り返ってみることにします。
コロナの影響が概ね収束した2023年でしたが、企業や団体の不祥事が相次いだ一年となりました。
臨時国会閉会後の自民党の裏金疑惑は、有権者に大きな失望をもたらしました。
北出は政治の専門家ではないので、これ以上掘り下げませんが、政治家も政治家なら実業界も実業界でした。
今年最大の企業不祥事といえば、やはり、中古車販売大手のビッグモーターを語らない訳にはいきません。
新型コロナウイルス感染症が猛威を奮っていた最中では、半導体不足が深刻で新車の生産が滞ったことで、中古車の価格が新車を逆転するという摩訶不思議な現象が起きたことで、中古車販売業界が潤った後の不祥事でした。
そもそも、中古車販売業は、基本的には仕入れた中古車を別のユーザーに販売する謂わば「右から左」の商いの典型例です。
製造業などと違って、「右から左」の商いは、どうしても薄利です。
付加価値が低い中古車販売業に於いて、自動車メーカーの操業が徐々にコロナ前の通常モードに戻っていった中、「もっと仕入れて、もっともっと売れ」と全社を挙げて取り組んでいた中、中古車販売価格が上昇するということは売価も上がりますが、原価も同じように(もしかしてそれ以上に?)上昇した訳ですから、 真っ当なやり方では、現場ではノルマを達成することはできなくなりました。
やむなく、現場では、お客様の大切なクルマにワザと傷をつけて、保険で修理させるというメチャクチャなやり方が横行しました。
「兼重モータース」としてスモールビジネスでやっていた時ならいざ知らず、会社の規模は大きくなったものの、ビジネスモデルは昔のままだった訳ですから、ビジネスモデルが限界を迎えていたことは明らかです。
ビジネスモデルが限界を迎えていた中では、「気合」と「根性」だけではどうにもなりません。
かくして、伊藤忠が買うのかどうかはわかりませんが、ビッグモーターは経営危機を迎えたまま越年となりそうです。
ビジネスモデルが限界を迎えていて、「気合」と「根性」だけでは回らなくなっていたのは、コロナ関連事業で自治体に不正請求を行っていたのが判明した近畿日本ツーリストも同様です。
旅行代理店のビジネスモデルも、昭和の時代ならいざ知らず、もはや昔話の世界です。
今や、航空会社や旅館が自社サイトで一般ユーザーに直販するのが主流です。
北出もあちらこちらと出かけますが、ここ何十年もJTBやキンツリの店舗に足を運んだ記憶がありません。
今年の企業不祥事の一つ目のキーワードが「ビジネスモデルの限界」です。
2 中小企業での不祥事は会社の息の根を止める
再び、ビッグモーターに話を戻しますが、今年の企業不祥事の二つ目のキーワードが「忖度」と「責任回避」です。
記者会見でのビッグモーターの兼重前社長の「わたしは一切知らなかった」の一言には、中小企業経営者の多くが「何言ってんだ、こいつ?」と率直に感じたに違いありません。
代表権のある社長にして、オーナーである人間が、「わしゃ、知らん」は、通りません。
少なくとも、オーナー兼経営者は、最高指揮官なのだから、知ってようが知ってまいが、不祥事があったことに対して、率直に世間やお客様をはじめとした全てのステークホールダーに謝罪するのが当然です。
旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏の性被害については、暗黙の内に、みんなが知っていたにもかかわらず、変な忖度が働いていたことは明らかです。
弊所のお客様は、幸か不幸か、上記に出てくるような大企業はなく、中小企業や小規模事業者ばかりですが、北出の感覚だと、もしも上記のような不祥事がお客様の会社で行われていて、それが顕在化した暁には、その会社は、間違いなく会社の息の根が止まってしまいます。
中小企業の事業規模、ヒト、モノ、カネ(+情報)だと、ちょっとした不祥事によって会社の存続危機に見舞われることです。
改めて言うまでもなくありませんが、守るべきは、会社、事業そのものと従業員なのであって、決して、経営者自身の保身ではありません。
中小企業経営者は、今一度、会社の中で、遵守すべきコンプライアンスがきっちり守られているか、取引先に誠実であるかを点検し、不祥事の芽が万が一にもあるようなら早期に解決、刈り取って、事業継続に支障となりうる要因を撲滅するための弛まぬ努力が必要なのです。