【中小企業の銀行対策】メインバンクには「安心感」が必要である理由とは?

1 金融機関には「本音」を封印して「建前」を押し通せ

中小企業にとっては、金融機関はどうしても組織として「大きな存在」に見えてしまいます。
どれだけ小規模な金融機関でも、支店などの営業店があって、本店営業部の階上に本部組織が鎮座しているのを見ると、中小企業経営者からすると、「こりゃ、とてもやないけど、太刀打ちでけへんなあ」です。
金融機関の組織としての特徴が「ピラミッド型」組織です。
もっと言えば、軍隊型の組織体で、それぞれの権限が厳格に決まっています。
軍隊型の「ピラミッド型」組織なので、本音はタブーです。
あくまでも、建前が全てです。
例えば外回りの担当者が融資の稟議を起こしながら、「もしかすると、この会社、半年後にはトブかもしれへん」と万が一にも心の中によぎったとしても、「資金使途も、返済原資も、保全も完璧です」と凛義でしっかりと明示しない限り、その稟議が通るわけはありません。
「ひょっとしてこの手形、ユウテかもしれん」もご法度です。
それが金融機関という組織です。
中小企業経営者は、そこらあたりをしっかりと認識しておかないと、金融機関としっかりとした取引を継続することはできません。

2 メインバンクに必要なのはワクワク感ではなく、安心感である

このように、金融機関に対しては、本音はさておき、建前論で押すのが正論です。
なので、「向こう3年間でこれこれをやってブレイクスルーによって、売上高が5倍になります」という類の「ワクワク感」は金融機関、中でもメインバンクには「受けません。
むしろ、「この社長、ホンマに大丈夫かいな」と懐疑的に捉えられかねません。
それよりも、「原価上昇分をしっかりと価格転嫁することで、売上総利益率を現状程度に維持し、お客様の満足度を高めることによって、売上高を年率3%ずつ着実に増加させていって、長期の返済原資をしっかりと確保していきます」の方が、金融機関受けは断然良いです。
上場前の主幹事証券ならば、「ワクワク感」が受けるに違いありませんが、預金等受入金融機関としては、安心感を享受したいというのが本当のところです。
コロナ禍で、成長路線が描きにくい中だからこそ、金融機関には安心感を植え付けることが肝要です。
他方、金融機関もそれぞれ行風があるので、このように石橋を叩いて渡る金融機関もあれば、リスクマネーを供給することに積極的な金融機関もないわけでもありません。
石橋を叩いて渡るのか、リスクマネー大好きなのか、個々の金融機関の行風をしっかりと見抜いて、自社の社風にマッチする金融機関をメインバンクに据える必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】政府系金融機関を味方につけておくメリットとは?も併せてご一読下さい。

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