【中小企業の事業承継】ローカルルールを廃止しなければならない理由とは?

1 社歴の長い会社にはアカが積りまくっている

弊所が事業承継に絡んでお手伝いさせて頂くお客様の会社の場合、社歴が長く歴史ある会社からのお仕事となります。
弊所は、特に事業承継に当たって、金融機関、中でもメインバンクとの関係強化に取り組んでいますが、決算書や試算表に出てこない「定性的な要素」も事業承継には重要となってきます。
例えば、創業者が自らの力量で30代前半で独立して以来、創業30年。
創業者も60歳を超えておられますが、創業者としてのオーラは未だ健在で、北出がたじろぐ程の気力と気迫をお持ちです。
さすがは、失われた30年をしっかりと生き抜いてこられた経営者で、経営にかかる力量だけではなく、人間としての度量も十二分です。
そのような歴史ある会社でも、いえ、歴史ある会社だからこそ、ともすれば世間擦れしたローカルルールがまかり通っているケースが少なくありません。
コロナ禍で鳴りを潜めたとはいえ、まだまだ接待交際の伝統が脈々とあったり、あるいは、経営者とは別に大番頭さんがいらっしゃる場合には、大番頭さんならではの特権的な権限が維持されていたりします。
経理部門では、本来の会計原則に則った発生ベースの売上、費用計上が適切に行われていなかったりします。
簿記2級を受かっている新卒の若者が経理に配属されたとして、「あれ、この費用計上、おかしいやないか?」と疑問を持ち、先輩社員や上司に訴えても、「今までもこうやってきてきたから、引き続きこのままでやっといてな」で片づけられた新卒くんは、「この会社、大丈夫なんかいな? さっさと第二新卒で転職活動しよかな」となってしまって、ようやく採用できた貴重な新卒くんが早期に退職してしまうことさえ懸念されます。
確かに会社としての伝統を重んじるのは大切なことですが、ともすれば、長年の社歴がもたらしてきたつもりに積もってきたアカが、思わぬ形で会社に不幸を呼びかねません。
ましてや、次世代に事業を承継する場合、このような積りに積もったアカを徹底的的に洗浄して、綺麗さっぱりした形で、事業承継を実行しなければなりません。
逆にいえば、事業承継は、会社に溜まったこれまでの悪しき慣習を一掃する絶好のチャンスであるかもしれません。

2 事業承継後の会社に徹底すべきは「フェアである」こと

実際、偉大なる創業者から二代目となるジュニアが「創業者の七光り」と陰口を叩かれることなく、事業承継後に会社をしっかりと舵取りしていくことは容易なことではありません。
事業承継前には、創業者の睨みが効いていたので、大番頭格も殊勝に振る舞っていましたが、創業者が会長になり、相談役に退いて、めっきり出社することが少なくなってくると、大番頭格が本性を表さないとも限りません。
特定の社員が特権的な権力を振るうことは厳に慎ませなければなりません。
このため、これまでまかり通ってきたローカルルールを聖域なく見直し、会社をあるべき姿に変えていくことが、事業承継には欠かせないことです。
ルーカルルールを聖域なく見直すということは言い方を変えると、「フェアである」ことだと北出は考えています。
平等ではなく、公平に。
社内だけではなく、社外に対してもフェアであることは、会社が社会の公器となるために必要不可欠なことです。
事業承継に当たって創業者(継がせる側)は、特にジュニアへの事業承継に際しては、決算書に出てこないマイナスの定性的な会社の習慣を改革する覚悟が必要なのです。

【中小企業の銀行対策】経営者が健康を維持しなければならない理由とは?も併せてご一読下さい。

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