【中小企業経営者の心得】社会保険料負担に耐え得る収益体質を維持し続ける必要性とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、増加必至の社会保険料負担に耐え得る収益体質を維持し続ける必要性について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 赤字企業でも社会保険料負担は増加する
2 社会保険料負担に耐え得る収益体質を実現する
どうぞ、ご一読下さい。
1 赤字企業でも社会保険料負担は増加する
世間では、「103万円の壁」、「106万円の壁」など、家計負担の軽減が高い関心を集めています。
確かに、物価高で家計の可処分所得が減少する中、どこかの政党じゃないけれど、「手取りを増やす」というのは、国民からの支持を掴み取りました。
他方で、先の総選挙では、とかく、所得税にスポットが当たりましたが、社会保険料については、あまり言及がありませんでした。
実際、高齢化の進行によって、現役世代の社会保険料負担は増加の一途を辿ってきました。
高齢者の絶対数が多く、かつ、現役世代に比べると、投票率が高いことから、高齢者に厳しい政策は現実的には期待できそうにありません。
ただ、今回の「手取りを増やす」という議論は、とかく、消費者に対するものが主体で、社会保険料に関して言えば、会社負担分についてあまり議論がされていません。
高齢化の進行によって、社会保険財政を支えるためには、取りやすく、かつ反対が起こりにくい会社負担の増加が懸念されます。
普通に考えれば、社会保険料の会社負担分は今後、増えていくと踏んでおくのが妥当です。
法人税は税法上の損失を翌期以降に繰り越すことができて、繰損がある限り、法人税は均等割の分だけで済みますす。
しかしながら、社会保険料の場合、赤字に陥ったといっても、会社の社会保険料が減額されることはありません。
実際、中小企業や小規模事業者が資金繰りが厳しくなって、社会保険料を滞納してしまうと、年金事務所からの厳しい督促にさらされます。
税金のもちろんですが、社会保険料の滞納が発生する前に、取引金融機関にリスケジュールを要請してでも、社会保険料をしっかり納付することが資金繰りの大原則です。
中小企業経営者は、今後、社会保険料の会社負担分はさらに増加していくことを念頭においておかねばならないのです。
2 社会保険料負担に耐え得る収益体質を実現する
社会保険料の会社負担分が増えていくことは、中小企業経営者にとっては、頭の痛い話ではあります。
しかしながら、雇用を増やして、働いている従業員が安心して働くためにも、会社として社会保険料をしっかりと納付していくことは極めて重要です。
社会保険料負担に耐え得るために、必要なことは当たり前ですが、「儲ける」ことです。
会社がしっかりと利益を出して、キャッシュを創出していくことが社会からも要請されます。
お客様のニーズを満たし、過当競争に飲み込まれることなく、独自の強みを持つビジネスモデルに転換していくことが中小企業の喫緊の経営課題です。
幸い、ドーンと増益になったとしても、社会保険料が過度に上がることはありません。
そこが、法人税との大きな違いです。
中小企業経営者は、自社のビジネスモデルを「儲かる形」に転換していくために、弛まぬ努力を継続していくことが必要なのです。