【中小企業の銀行対策】政府系金融機関を味方につけておくメリットとは?

1 政府系金融機関について理解を深めておく

中小企業にとって、メインバンクとの信頼関係が重要であることは、このブログでも何度も取り上げてきました。
メインバンクは、サブ行以下とはしっかりと分別して、
社長:「御行がメインバンクなんですから、万事よろしくお願いしますよ」
メインバンク担当者:「弊行がメインバンクですから、しっかりと支えていきますよ」
という信頼関係が何より大切です。
他方、これはあくまでも、民間金融機関でのお話で、政府系金融機関となると話は変わります。
政府系金融機関で中小企業が最も身近な存在が、日本政策金融公庫です。
創業資金、商工会議所のマル系、中小企業だからこそ利用できる各種制度融資など、メニューはなかなか豊富です。
公庫の中でも、旧国民生活金融公庫である国民生活事業が、個人事業、小規模事業者や中小企業が利用するのに対して、旧中小企業金融公庫の中小事業は、どちらかというと、「中」に近い中小企業と中堅企業が対象です。
また中小企業がお付き合いすべき政府系金融機関が商工組合中央金庫です。
俗に「商工中金」の方が通りが良いですが、政府が株式を保有する立派な政府系金融機関です。
現在、商工中金の完全民営化が政府の中で検討されています。
日本政府保有株を、日本郵政のように上場して市場で売却するのではなく、既存の商工中金の取引先に売却する案が浮上しています。
取引先、つまり融資先に株式を売却するとなると、巨大な信用組合のような組織が誕生することになるイメージです。
商工中金は、一見すると、支店が主要都市にしかなく、支店のユニットも大きく、役職員も全国転勤であるため、ついつい、敷居が高いような印象が先行します。
商工中金を身近な業界としているのが運送業界です。
トラック協会が債務保証してくれることで、運送会社がトラックを購入する際、長期資金を有利な条件で調達することができます。
10トン車やそのロングとなると、車両の価格は20,000千円は下らないような大きな買い物になるので、運送会社にとっては、商工中金はなくてはならない存在です。
運送業界だけではなく、商工中金は利子補給などなど独自の様々な制度融資が揃っているので、中小企業にとっては貴重な味方なのです。

2 政府系金融機関は、メインバンクと競合しない

中小企業経営者から「公庫や商工中金がお付き合いしたいところやけど、政府系から融資受けたらメインが嫌な顔、するんと違うか?」という声が聞こえてきそうです。
確かに、そういう懸念はわからないわけではありませんが、実際問題、民間金融機関のメインバンクは、政府系金融機関に目くじらを立てることはそうそうありません。
そもそも担っている役割が違いますし、レートや利子補給といった優遇措置が政府系金融機関にはあるので、メインバンクからすれば、政府系金融機関とは競合しないというのが一般的です。
民業圧迫とならないことが政府系金融機関の位置づけです。
なので、どこまでいってもメインバンクは、メガバンク、地銀、第二地銀、信金・信組といった民間金融機関です。

メインバンクやサブ行以下の民間金融機関によせ、政府系金融機関にせよ、資金繰り表、試算表(必要な場合は受注明細)を用いながら、定期的な業況報告(モニタリング)を回していくことが中小企業と金融機関との信頼関係構築には必要不可欠なのです。

【中小企業の銀行対策】メインバンク担当者を味方に引き入れておく必要性とは?も併せてご一読下さい。

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