【中小企業経営者の心得】「組織」への対応力が求められる訳とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、「組織」への対応力が求められる理由について考えてみることにします。
「組織」への対応力が求められる理由として、次の事項について掘り下げます。
1 ピラミッド型組織の特性を把握しておく
2 組織人を相手に交渉する時は、相手の顔に泥を塗ってはいけない

1 ピラミッド型組織の特性を把握しておく

多くの大企業の組織特性を一言で言ってしまうと、「ピラミッド型組織」です。
「ピラミッド型組織」の典型例で、中小企業経営者が必ず相対さなければならないのが金融機関の役職員、銀行員です。
金融機関の組織特性を例に取ってみます。
金融機関の組織のトップが役員会で、その構成員は、頭取、会長、副頭取、専務、常務、取締役、執行役員などで、役員が所管する本部部署がピラミッドの上層部を構成します。
本部部署としては、審査部(融資部等々名前は金融機関毎で様々)、営業推進部、事務部、総務部、検査部等々が存在し、個々の部署には部長、副部長、次長、課長、課長代理等々がいます。
本部部署の指示を受けて、預金者や融資先と接点を持つのが、営業店(本店営業部、法人営業部、営業部、支店、出張所等々)で、実際に中小企業経営者が融資を要請するのが営業店です。
営業店担当者は、営業部店長の「よし、やろう」という方針が出たら、融資先からの融資の要請を受けて稟議書を起こして、役席、次席を経て部店長の決裁を得る場合と、部店長から本部審査部門の決裁を受ける場合があり、決裁権者の決裁を受けて、初めて融資の契約締結、実行と進んでいきます。
融資の稟議は、案件、融資先の属性によって決裁権者が厳格に決められています。
一担当者が熱意を持って「なんとか、この案件、やりたいんや」と力んでみても、一担当者には何一つ権限がないので、全ては、決裁権者の決裁次第となっています。
金融機関を例に取りましたが、例えば、仕入先や得意先が大手企業も場合であっても、程度に差はあるにせよ、基本的には、ピラミッド型の組織運営と決裁権の運用については、同じような業務フローだと考えられます。

2 組織人を相手に交渉する時は、相手の顔に泥を塗ってはいけない

このような組織の「掟」について、中小企業経営者にとって、素直に理解できないケースも散見されます。
創業者で、大企業に勤めていて独立開業した創業者にとっては、組織の「掟」は肌感覚で実感することができます。
しかしながら、例えば、2代目や3代目さんで、学校卒業後、外の会社で勤務する経験がなく、家業にそのまま入ってしまう場合は、組織の「掟」がピンときません。
組織の「掟」を肌感覚で実感できていない経営者は、ついつい、取引先担当者を上から目線で喧嘩腰になりがちです。
北出の経験則でも、「この前、うちのメインの担当者のやつ、気に食わんかったから、ド叱ったんや」と得意げに語る経営者がいらっしゃって、その際、北出は「社長、そういうの大人気ないし、絶対やめて下さい。その人、何の決裁権限もない人ですから、ド叱っても何の得にもなりませんから」と思いっきりお諌めしたことがあります。
権限のない一担当者を前にかましてやっても、お互い、憎悪しか産みません。
また、そういうやりとりは、現担当者から次の担当者への引継ぎの際、「あの社長だけはきいつけといて下さい」と引継ぎがされてしまいます。
金融機関の担当者は、3年から5年程度で、転勤や係替えなどで変わっていきます。
引継ぎの際には、良いことは当たり前なので、格別に引き継がれませんが、悪い材料は必ず引き継がれます。
中小企業経営者の皆さん、間違っても、組織人を相手に交渉す時には、相手の顔に泥を塗るようなことはしてはいけません。
中小企業経営者は、組織で働く人々が組織の論理で仕事をしていることを理解して、組織人の顔を立てながら仕事を進めることを肝に銘じる必要があるのです。

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