【中小企業の銀行対策】オーナー経営者にとっての納得感のある役員報酬の水準とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、オーナー経営者にとっての納得感のある役員報酬の水準について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 少な過ぎる役員報酬は実態BSを痛めてしまう
2 オーナー経営者こそ個人の生活を安定化させる

どうぞ、ご一読下さい。


1 少な過ぎる役員報酬は実態BSを痛めてしまう

オーナー経営者の中小企業経営者にとって、「俺自身の役員報酬は本当に妥当な金額なんやろか?」とおぼろげながらも疑問を持っている方が少なくないようです。
従業員とは違うオーナー経営者なので、早い話が、業績連動で役員報酬を増減させるというのがオーナー経営者としては納得感が強いかもしれません。
経営者として、適切な経営判断を行なって、前期比増益となったため、役員報酬を増やすというのは、ごく自然なことです。
決算が締って、新年度に入ってから最初の3ヶ月間で役員報酬を増額した場合には、役員報酬増額分を税法上の損金算入が可能なので、前期決算の状況を見て、役員報酬を改訂することは合理的です。

一方、業績が下降局面になったり、経営改善が必要な状況になった際、しばしば債権者である金融機関から、「社長、役員報酬を少し下げてはいかがですか?」などと助言されることも無きにしもあらずです。
特に、資金繰りがタイトになって、リスケジュールを余儀なくされた場合などは、コストカットの方策として、役員報酬減額というのは、即効性が高く、金融機関から役員報酬削減を要請されるのは、ごもっともと言えばごもっともではあります。

そのような場合、時として、役員報酬を減額し過ぎて、個人の生活に支障が出かねなくなって、やむなく、会社から貸付金として、経営者個人に資金が流出してしまうのは、大きな問題です。
基本的に、金融機関では、自己査定に於いて、同族の役員向けの貸付金は査定となるので、実態ベースのBSを痛めてしまいます。
実態BSを傷めることは、債務者区分の引き下げに直結しがちです。
金融機関から安定的に支援を継続してもらうためにも、過度な役員報酬の減額は避けなければならないのです。

2 オーナー経営者こそ個人の生活を安定化させる

そもそも、オーナー経営者は、世間一般のサラリーマンに比べれば、公私共に大きなリスクをかけています。
株主として、会社をコントロールできる立場にある一方で、株主としての責務を負っている他、金融機関の借入金の個人保証をしているのがまだまだ主流です。
下手をすれば、自宅を入担している経営者も無きにしもあらずです。
会社とオーナー経営者は一心同体で、会社が沈めば、オーナー経営者も運命を共にするケースが少なくないのが現状です。

このため、仮に、業績がやや不振になったり、経営改善局面が必要な局面に接したとしても、個人の生活が不安定になるような役員報酬の過度な減額は絶対避けなければいけません。
業績がやや不振になったり、経営改善局面が必要な局面になれば、会社の業務から離れたプライベートではリフレッシュがより一層必要ですし、家族へのケアも必須です。
仮に、役員報酬の減額が必要となり、個人の住宅ローン債務がある場合には、会社のリスケジュールだけではなく、住宅ローンの条件変更もセットで行う必要があります。

業績がやや不振になったり、経営改善局面が必要な局面に至った時こそ、「私の経営手腕が必ず会社を立て直す」という強い気持ちで業況回復に取り組まなければなりません。
役員報酬の減額よりも、会社の強みを更に伸ばし、弱みを克服して、外部要因の機会を逃さずフォローの風に乗りつつ、外部の脅威は回避することで、会社を安定させることができるのはオーナー経営者だけです。

中小企業のオーナー経営者は、過度に多額な役員報酬は慎みながらも、個人の生活を安定させるために最低限必要な役員報酬を取る必要があるのです。


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