【中小企業経営者の心得】周辺業種を含めた競合激化によりコストカットの加速が予想される理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、周辺業種を含めた競合激化によってコストカットの加速が予想される理由について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 競争激化の原因はトランプ関税にあり
2 中小製造業の経営環境は厳しさを増す
どうぞ、ご一読下さい。
1 競争激化の原因はトランプ関税にあり
トランプ関税がもたらす世界的な嵐は止む気配が感じられません。
特に、言うまでもなくありませんが、日本の基幹産業である自動車及び自動車部品製造業の外部環境の厳しさは相当なものです。
日本の自動車メーカーは国内の雇用を守るためにも、国内生産を死守してきましたが、ここへきてその経営施策が裏目に出てしまっています。
その影響は、完成車メーカーだけにとどまりません。
自動車産業は裾野が広く、部品メーカーとその下請け業者の数は相当なものです。
部品メーカーやその下請け業者としても、自動車の国内生産の停滞を指を咥えて見ているわけにはいかず、たとえば、産業用機械や電子部品、半導体関連に新規参入を目指すようになってきています。
実際、弊所の中小製造業、街工場のお客様でも、これまで競合していなかった自動車部品関連からの新規参入によって、シェアを奪われかねない状況が顕著になってきました。
元々、自動車部品関連は、他の製造業と比較しても、極めて高い品質水準を自動車メーカーから求められ、そのニーズに応えてきました。
わかりやすく言えば、自動車部品関連であれば、5ミリメートルの長さを要求されれば、短いのはダメですが、長すぎるのも許されません。
逆に、極端な話、自動車部品関連以外であれば、5ミリメートル以上であっても「余ってはいるけれど、ちゃんと届いているのだからOKでしょ」が通じます。
その位、自動車部品関連が要求される品質水準は極めて高いものがあって、周辺の業界への新規参入は比較的容易であると言えるのです。

2 中小製造業の経営環境は厳しさを増す
上記で申し上げましたが、中小製造業の中で、特に、自動車部品関連の周辺業種への新規参入が増加することが想定されます。
さて、ここで問題となるのが、新規参入組は既存の業者からシェアを奪還するため、より低い価格で新規参入を図ろうとすることです。
このため、これまでの加工賃水準から、新規参入組の加工賃水準がデフォルトになってしまって、業界全体をコストカットの波が襲うことになってしまいかねません。
これでは、仮に、既存の業者が現在のシェアを守るため加工賃単価の引き下げを余儀なくされると、当たり前ですが、既存の業者の減益要因に直結します。
これでは、本来取り組みべき賃上げの原資が失われるだけではなく、場合によっては金融機関への元本返済原資が枯渇することにもなりかねません。
トランプ関税の影響によって、日本の中小製造業が減益あるいうは赤字に転落して、下手をするとリスケジュール(金融機関への条件変更)を余儀なくされるということも十分想定されるのです。
各府県によって取り組みには差があるようですが、信用保証協会が資金繰りを支援するための制度融資を拡充するようなケースも散見されますが、5年前のコロナ資金のような大規模でかつ緊急避難的な制度融資は未だ見通せない状況です、
トランプ関税の影響は、さまざまなところで顕在化することが予想されますが、自動車関連とその周辺の中小製造業にとっては、トランプ関税の影響は待ったなしとみるべきです。
中小製造業の経営者は、自社に及んでくるであろうトランプ関税の影響を注視して、早め早めにメインバンクと現状についてディスカッションをし、必要に応じてニューマネーの調達、あるいはリスケジュールの要請を行なっていく必要があるのです。
資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。
