【中小企業の銀行対策】支払利息というコストが上がってくる覚悟が必要な理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、経営者自身が支払利息というコストが上がってくる覚悟が必要な理由について考えてみます。

今日の論点は以下の2点。

1 ゼロ金利は未来永劫続かない
2 支払利息増加でギブアップする中小企業が続出するかも?

どうぞご一読下さい。

1 ゼロ金利は未来永劫続かない

日本銀行の総裁が黒田さんから植田さんに交代してから3ヶ月少々が経過しました。
黒田総裁時代は、新型コロナウイルス感染拡大という非常事態に立ち向かうため、マイナス金利、ゼロ金利は一定の合理性があったように思えますし、マイナス金利、ゼロ金利のおかげでといわゆるゼロゼロ融資の影響もあってか、経営改善局面の中小企業でさえ、取引金融機関は格別金利が引き上げられるわけではありませんでした。
マイナス金利、ゼロ金利が、ゾンビ企業の延命を許してきたという側面も無きにしも非ずです。

ただ、黒田総裁が主導したマイナス金利、ゼロ金利は概ね継承されているように表向き見えますが、市中の金利はジワジワッと上がってきています。
市中の金利(代表的な指標が10年ものの国債の利回り)が上昇してくると、次にやってくるのが金融機関による融資先への金利引き上げ要請です。
北出が社会人になった平成5年当時は、郵便局に定額貯金で10年間預けておくと、10年後倍になるというような金利がついていた時代が現に存在しました。
多くの中小企業経営者が、1%から2%台、優良先なら0.5%強、経営改善局面であれば3%台というような金利感覚で慣れきってしまっていますが、このような低金利はむしろ「非常時向け」です。
「非常時向け」の金利が当たり前になってしまっているというのは、とてもヤバイ話です。

このように、ゼロ金利、マイナス金利は、未来永劫続くことはあり得ないのです。

2 支払利息増加でギブアップする中小企業が続出するかも?

次に、市中の金利が上昇することによって、中小企業ではどのような影響が出てくるのでしょうか?

「うちみたいな小さい会社には、市中の金利が上がろうが関係ないで」と居直ってはいけません。
大企業であろうが、小規模事業者であろうが、金融機関から融資を受けている限り、市中の金利上昇の影響は遅かれ早かれ、必ず及んできます。

具体的に考えてみます。
1億円の借入金がある会社で、現在の適用金利が平均で2.25%とします。
話がややこしくなるので、信用保証協会への保証料は無視して、単純に支払利息に限って見ると、現在の年間の支払利息は2,250千円、月額187.5千円で、およそ新入社員、ド新人1人分のイメージです。
ちょっとイメージしにくいのですが、通常、市中の金利が上がって、タイムラグがあって金融機関からの利上げが要請されるので、市中の金利が2%上がり、金融機関から1.5%の利上げを要請されたとします。
1.5%の利上げによって、適用金利が現在の2.25%から3.75%になると、年間支払利息は3,750千円となって、年間1,500千円増加します。
月額の支払利息は312.5千円となって、ド新人どころか、中堅社員1名位をイメージしなければならなくなります。
営業利益が3,750千円未満であったら、営業外収益0円とした場合、経常損益では、赤字に転落してしまいます。
困ったことに、支払利息増加分のコストカットをしようとしても、原材料高、水光熱費の上昇、人手不足というコスト上昇要因が重なる中、コストカットの余地がほとんどありません。

このように、金利上昇は、他人事では決してありません。
コロナ資金の3年間の無利息期間も順次終了します。
支払利息の増加は避けて通れません。
たかを括っていると、「茹でガエル」のようになってしまいます。
気づいた時には、時既に遅しで、「しもた。こんなはずやなかったのに」と後悔しても始まりません。
支払利息の増加で、ギブアップしてしまう中小企業がないとも限りません。

中小企業経営者は、「市中の金利上昇」=「近い将来の支払利息増加」と危機意識を持って、今から値上げ、更なるコストカットを検討し、できることから実行に移していく必要があるのです。

【中小企業経営者の心得】中小企業経営者が評論家になってはいけない理由とは?も併せてご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご覧下さい。

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